中央教育審議会初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会(第15回)

 

中教審 傍聴の記録

  

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 第15回 2018.7.19

 

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【中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会 委員】

50音順

 

 

相原 康伸 氏

全日本労働組合総連合会 事務局長

 

青木 栄一 氏

東北大学大学院教育学研究科 准教授

 

天笠 茂 氏

千葉大学教育学部 特任教授

 

小川 正人 氏 ★部会長

放送大学教養学部 教授

 

風岡  治 氏欠席)

愛知教育大学教育支援専門職養成課程 准教授(2018年4月より.前職は豊橋市教育委員会教育政策課事務指導主事)

 

川田 琢之 氏

筑波大学ビジネスサイエンス系 教授

 

清原 慶子 氏

東京都三鷹市長

 

佐古 秀一 氏欠席)

鳴門教育大学理事・副学長

 

妹尾 昌俊 氏

学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー

 

時久 惠子 氏欠席)

高知県香美市教育委員会 教育長

 

橋本 幸三 氏欠席)

京都府教育委員会 教育長

 

東川 勝哉 氏

公益社団法人日本PTA全国協議会 会長

 

冨士道 正尋 氏

前小金井市立南中学校校長・全日本中学校長会 事務局主事

 

無藤 隆 氏 ★部会長代理欠席)

白梅学園大学大学院 特任教授

 

善積 康子 氏

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員

 

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稲継 裕昭 氏

早稲田大学政治経済学術院 教授

 

嶋田 晶子 氏

武蔵野市立第五小学校 校長・全連小理事・東京都小学校 校長会副会長

 



中教審 傍聴の記録

 

 

配布資料

 

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資料1 教員のメンタルヘルス対策に関するこれまでの取組等

資料2-1 教員のメンタルヘルス向上に向けて(十川博氏提出資料)

資料2-3 〃

資料2-4 〃

資料3 小売り湯学校における労働安全衛生管理体制等の整備状況(平成29年度)

資料4-1 労働安全衛生管理体制の整備について

資料4-2 参照条文(労働安全衛生関係)

資料5 学校の労働安全衛生管理の在り方について(検討視点の例) 

 

参考資料1 学校における働き方改革特別部会 委員(名簿)

参考資料2 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(概要)

参考資料3 経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~(平成30年6月15日閣議決定)【抄】

参考資料4 「学校における働き方改革特別部会」で今後議論すべき論点

参考資料5 妹尾委員提出資料

 

後日 文部科学省公式サイト からも資料ダウンロードができるようになります。

 

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議題

 

1、学校の労働安全衛生管理の在り方について

2、その他

 

 


 

※ 以下の記録は各委員の発言要旨を記載したものです。発言内容すべてを網羅できているものではない点をご了承願います。

※発言者のうち部会委員を、部会長を、文科省を、参考を臙脂で示す

 

ここから本議題

 

13時00分~15時00分

東海大学校友会館 望星の間 

 

 (定刻で開始)

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

事務局から資料確認をお願いします。

 

 

●鈴木初等中等教育企画課課長補佐

(配布した資料の内訳を説明)

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

前回に続いて学校の労働安全衛生管理の在り方について。前回は意見交換したが、最初はメンタルヘルス対策に取り組みたい。今日は十川先生に来てもらっているので、後程ご報告をお願いしたい。質疑応答までしてそのあとに50分程度、委員の間で意見交換をしたい。では事務局から基礎資料について説明をお願いしたい。そのあと十川先生。十川先生は数多くの教職員の診察に当たっておられ、メンタルヘルスのスペシャリストである。

 

 

●鈴木初等中等教育企画課課長補佐

資料1の1~2ページをご参照いただきたい。教員の精神疾患による休職は、ここ数年は5000人程度。教員全体では200人に1人の割合。このグラフより前のことだが、平成13年頃はこの半分で、平成の初めは1000人強だったが、それが30年で約4倍になっている。小中学校、特別支援学校で精神疾患が多い。病気は女性が多いが、精神疾患は同程度、やや女性が多い。

 

続いて3ページへ。職種別では病気、精神疾患とも教諭が多い、年代別だと病気休職は年齢に比例するが、精神疾患は40代が一番多い。

 

4ページはこれまでの文科省の取り組みである。(以下読み上げ)

5ページ(読み上げ)

6~9ページは参考ということでご覧いただきたい。

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

質問がある場合は最後の50分の方でお願いしたい。

引き続いて十川先生からお願いします。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

資料2をご参照いただきたい。

2ページは精神疾患休職者が増えている実態を示したグラフである。

 

3ページは今日お話したいこと。

1) 教職員ストレスの原因(実際のデータから見えてきたこと) 

2) ストレスへの対応

3) 今後の方向性

 

4ページは教職員母集団を考えた場合の、

①事例検討

②ある特徴を有する小集団の分析

③大規模集団の分析

という3つの視点を示したもので、今日は②と③を発表したい。

 

1)の教職員ストレスの原因について、当院心療内科を受診した教職員のデータから得たものが7ページ。平成21~29年度で1422名が受診し、うち女性が751名、男性が651名、平均年齢は女性が47.1歳で、男性は47.2歳。

 

次いで「職場内のストレスは何か?」という質問に対する回答(複数回答可)を示したものが9ページのグラフ。見ての通り、人間関係が大きい。「上司との関係」「同僚との関係」が上位2つを占めている。(傍聴者補足:「上司との関係」260人、「同僚との関係」240人、3番目が「学級運営」158人なので、いかに突出しているかがわかる)

 

続いて、当院で病休、休職の診断を行った教職員のデータが11ページから。平成16~28年に当科を受診した教職員1323名のうち、138名に病休、休職を診断した。どういう理由かというと、複合的な原因があると思うが、主たる原因と私が判断したもの。最も多かったのが 

「対処困難な児童・生徒への対応」次いで「保護者への対応」 

3番目に「管理職との関係」だった。 

 

さらに詳しく分析すると、「指導困難な児童・生徒への対応(44名)」「保護者への対応(19名)」は義務教育学校で多かった。もう少し分析してみた。理由のうち「その他」が33名だったが、それを分母138から引いた。なぜなら、疾病や家族介護など、どのような職場でも起こりえる原因ということで。こうして出た分母105に対して「指導困難な児童・生徒への対応(44名)」「保護者への対応(19名)」合計63名として計算する。すると約60%になる。すなわち、138名の病休者のうち60%が「指導困難な児童・生徒への対応(44名)」「保護者への対応(19名)」の小中学校教員ということになる。これを解決すれば大幅に減少するだろう。また管理職との関係が3番目に入っているが、職員を守る管理職がそこに入るようでは、管理職への研修も必要だろう。

 

18ページからは、公立共済組合Web版ストレスチェックのデータ(九州・沖縄地区)を分析してみたもの。約5万名の回答である。教職員特有のストレス要因に対して、全員対象だと「事務的な業務量」が多く、高ストレス者に限定すると小学校では「対処困難な児童・生徒への対応」がトップだった。 

 

ここから見えてくることをまとめたのが21ページ。ストレス要因は

 

※「事務的な作業量」がどの校種でも第1位か第2位

※中学・高校では部活動がストレスの上位に

※職場内の人間関係(上司・同僚)がストレスの上位に

※小中学校では特に「対処困難な児童・生徒」「保護者対応」もストレスの大きな原因

 

22ページでは別な観点から大規模データを分析した。上司からのサポートが高いと、抑うつ感は低い。同僚からのサポートも似たような感じになる。

また23ページは就労時間の観点。就労時間が延びれば延びるほど、抑うつ感は高くなる。

実際のデータから見えてきた、教職員のストレスの原因を示したのが27ページ

 

【1】 

事務的な業務量、校務分掌がどの校種でも負担である。また中学・高校では部活動も負担。特に事務的な業務量はストレスの第1位と第2位を占める。

 

【2】 

どの校種でも職場の人間関係は問題になっている。管理職や同僚のサポートと職場職員の抑うつ感は相関。

 

【3】 

病休や休職に至るような重篤なことに関係しているのが、「対処困難な児童・生徒」および「保護者対応」

 

次は、ストレスへの対応について。29ページから

 

【1】 

事務的な業務量、校務分掌がどの校種でも負担である。また中学・高校では部活動も負担。特に事務的な業務量はストレスの第1位と第2位を占める。

-->「事務的な作業量」がどういう内容が負担かは調べていないが、(30ページ)小学校教頭の66%、中学校教頭は73%が月80時間以上を超える超過勤務があるが、一方で副校長と教頭の負担感率の状況を調査すると(31ページ)、こういう場では申し上げにくいが、「国や教委からの調査・アンケート」に負担を感じているとわかる。

管理職自身が考える対策として

1) 資料・記録のデータ共有

2) 部活動、会議、校務分掌、仕事の改善

3) 早く帰る工夫

4) 時間を作る工夫

5) 機器で対応する工夫 等

 

【2】 

どの校種でも職場の人間関係は問題になっている。管理職や同僚のサポートと職場職員の抑うつ感は相関。

-->この解決のヒントの一つは、休職した後実際に復帰できた教職員の実態調査にある。

元気に職場復帰できた教職員に対し、復帰時に私が次のような質問をした。

「今思い返してみて、その当時どうすれば良かったと思いますか?」

これに、病休休職から復帰した60名の教職員 平均年齢46.9歳 

複数回答可で答えてもらったものが35ページ。

1位は「話を聞いてもらえばよかった」 2位「早く休めばよかった」 

3位「早く病院を受診すればよかった」

(今回はできていないが)ロジスティック回帰分析も必要と感じた。

管理職がどういう対応をしているか、後程触れたい。

 

【3】 

病休や休職に至るような重篤なことに関係しているのが、「対処困難な児童・生徒」および「保護者対応」

-->これは難しい。教育の根幹にかかわる問題と思われるので、様々な分野の専門家と協力していくことが必要である。

管理職がどう考えているかは資料2-2で見てほしい。

 

今後の方向性だが

 

1) 

教職員のストレスの大きな原因となっている①事務的な業務量、②対処困難な児童・生徒への対応、③部活動、④校務分掌、⑤人間関係、⑥保護者への対応等が上位を占めていた。この具体的な内容について、さらに詳細を明らかにし、一つ一つ対応を検討

 

2) 

そのためには各種ストレス対策(職場環境改善、長時間労働対策等)についてガイドラインを作ることも有用である可能性

 

3) 

日本全国(公立学校共済組合直営病院等の多施設合同調査)の教職員病休者・休職者のデータを集積・分析し、対策を考える

 

4) 

ストレスチェックで高ストレスが出ている10%の教職員のうちのさらに1%、数パーセントしか申し出ない。もっと受診しやすい体制をつくらないといけない。

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

それでは質疑や意見があればお願いしたい。

 

 

●富士道 正尋 委員(前小金井市立南中学校 校長・全日本中学校長会 事務局主事)

資料9ページの職場内ストレスで、上司、同僚が1位2位とデータに出ているが、一方14ページは対処困難な児童・生徒への対応、保護者への対応と出ているが、ここをもう少しご説明していただけると助かるが。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

9ページの受診者の内訳は必ずしも深刻ではなく、相談レベルで来ている教員も多い。14ページは病休と診断した方。より重篤な方。ではどういう原因だったかというと、対処困難な児童・生徒への対応、保護者への対応が多かった。両者の違いがデータに出ている。

 

 

●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)

3点お聞きしたい。

22ページに関して。抑うつ感の部分は低いほどよいだろうが、いくつ以上だと危険とか目安があれば教えてほしい。

上司からサポートというのはそういう質問をしたのか、複合的なものか。

14ページのように、病休になる方は対処困難な児童・生徒への対応、保護者への対応が多いとの話だが、一方で事務的な業務量なども多いという話だったが、それで心が折れるということはあまりなくて、対処困難な児童・生徒への対応や保護者への対応がきっかけなんだろうと思うが、そのあたりの感触も知りたい。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

抑うつ感の件だが、職業性簡易ストレス調査票の数値であり、10点以上だと思ったが、今ちょっとわからない。

上司からのサポートは3つの質問の回答への点数 

「頼りになるか」、「個人的な相談に乗ってくれるか」、他にもう一つあって(今思い出せないが)、その合計。

14ページについて、診察室に入るときから泣いているような人もいて、保護者からのクレーム、学校自体が怖くなった、などを訴えるのを見て、実感として(休職の原因は)対処困難な児童・生徒への対応や保護者への対応だと思う。

 

 

●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科 准教授)

四点、ある。

2ページの精神疾患による休職者数だが、他業種と比べてその推移をどう評価できるか。

病休、特に精神疾患に至る診断期間はどのぐらいで、他業種と比べてどうか。

児童生徒家庭への対応が病気休職理由の上位に来ているが、対人サービス、感情労働では同じ傾向かうかがいたい。

事務的な業務の量が上位に来ているが、教員と集団はそういったものへのストレス耐性がもともと弱いと評価できるのか。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

他業種のことはわからない。初診からどのぐらいで休むかだが、いっぱいいっぱいで来られる方が多い。その日に診断書を書いて休んでもらわざるを得ない事例が多い。もっと一次予防に力を入れていく必要がある。教職員にかかわる前は想像がつかなかった、なぜ、休まざるを得ないのか。一つは義務教育であること。毎日子供、問題のある子供が来る、背後に親がいる、毎日会わざるを得ない、それがストレスになる。たとえば企業へのクレームは毎日来るわけではない。しかし学校は毎日。そこがストレスだと感じた。事務作業へのストレス耐性が弱いかはわからないが、教員は子供と接していたいのだ、それが喜びだ、それとは関係ない調査などの業務、関係ないところにかかわるのがストレスなのではないだろうかと思う。

 

 

清原 慶子 委員(東京都三鷹市長)

二点ある。

36ページの復職した教職員が思い返してどうすればよかったかというもの、環境整備に重要なものだった。話をきいてもらえば、が1位で「傾聴」という言葉をもらった。三鷹市では傾聴ボランティアが一人暮らしや施設の高齢者の傾聴する。学校でも傾聴が重要だと思ったが、学校で傾聴法を学んでいる例はあるのか知りたい。

保護者対応で資料2-4の5ページ、保護者対応の「さしすせそ」(さ:最悪を想定する し:真摯に捉える  す:すばやく せ:誠意をもって そ:組織で)から、複数で対応することが大切という提案だと思うが、再発防止にこうしたものが役立つという例、提案があれば補強していただきたい。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

35ページに関して、傾聴法はある県では管理職に対して私が3時間ぐらい実習をやっている。管理職というのはアドバイスに慣れているので、あまり聴くことはしなくなっている。そこを実習で感じ取ってもらって、まず聞くこと、理解すること、そのうえでアドバイスですよ、といっている。ある県では6年ほどやっている。私自身の感触としては傾聴法は非常に有効なので他県でもやってほしい。

管理職のさしすせそだが、最近は保護者からのクレームがあって、5~6年前は担任に丸投げだったが、最近は組織で、管理職も一緒になって対応していると答えるところが多いので、これは広くいきわたっているのではないか。

 

 

●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部 教授)

これまでの専門的知見を踏まえ、学校に一歩踏み込んだら、危ない、ここは何とかいけてる、いわゆる組織の健康度、学校のありようがお見えになっていると思うが、各患者から話を聴くにせよ、組織の見方は示唆がずいぶんあったように感じる。出てきたものを吸い上げ、予防や解決策が生まれてくるのではないかと思う。そういう点で、この学校はイエローカード、のような助言やアドバイス、注意喚起があればお話しいただければ。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

難しい質問だが、教職員が常々に言うのは、管理職によって全然雰囲気が違ってくる。どういうのがよくて、悪いか、というと、ちょっとした言葉がけ、ほめる、ねぎらう、さりげない配慮ができる管理職のいる学校は明るい。ところが、こうしなさい、ああしなさい、という指導する管理職のところはメンタルヘルスがうまく行っていない、という感触。

ストレスチェックをやっていて思ったのは、ストレスチェックデータではいろいろなことができるが、たとえばある県でストレスが多いから少ないへ並べられる。多い所と少ない所の比較だが、少ない所を選んで、どんな工夫をしているか聴き取り調査をしてみるといいのではないかと思う。

 

 

●相原 康伸 委員(全日本労働組合総連合会 事務局長)

二つ問いたい。

まず重篤でない方で、ストレス原因に人間関係を挙げているというのは(今後深刻になりうる)予備軍だろう。

35~36ページ 

「話を聞いてもらえばよかった」の表現と「相談するには勇気がいる」がポイント。話を聞いてもらえばよかった」のはどの段階がいいのか、が、今後のストレス対応の上でも重要だ。個人でも技量を上げる、どの段階で話を聴いてもらうのか、持ち合わせてもらうのが重要。それによって複数で対応する、といったように。泣きながら診察室に入って来る前の段階でサインは出ていて、そのサインに気づかない学校ならそれは改善が必要である。タイミングがどうなのか。

民間で自分が傾聴をやろうとして何度も躓いたのは、従業員はセンターに足を踏み入れただけで評価が下がることを恐れている。重篤でないということはだれでも行けること、それが重要。カウンセリングとかセンターとかいうとハードルが上がってしまうのではいけない。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

もっと前の段階で来てもらえれば、というのは確かにある。ただ、こういうタイミング、というのと受け手のいつでも来てくださいね、という二つの要素がある。少なくともいつでも傾聴というのは整える必要がある。タイミングはわからないが、何かあった時に、信頼できる同僚がいたらいいのかなと思う。すぐアドバイスではなく、まず聴こう、という人がいればと思うが、答えにならなかったら申し訳ない。

誰でも行けるは重要。心療内科やメンタルクリニックは敷居が高いと思うので、公立学校共済は電話も受けるし、対応は頑張ってくれていると思うので、そのあたりは充実していると思う。

 

 

●嶋田 晶子委員(武蔵野市立第五小学校 校長・全連小理事・東京都小学校 校長会副会長)

456月にメンタル問題は多いという結果が出ている。新たな取り組みへの対応力が、47歳というと難しくなっている。子供と年齢も離れる、今までうまくいっていたのに、ということも。

(16~17ページ)義務教育(小中学校)で「対処困難な児童・生徒」「保護者への対応」が多いということだが、そこに「さらに管理職の対応によって休みに至る職員がいる」いうことだが、そこをもう少し具体的に教えてほしい。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

教頭で休んだ人がいる。校長が厳しい、毎朝間違いなどいろいろな指摘を受ける、校長は自分を鍛えようとしてやっているのだろうが、自分としては辛い、と。結局休職し、のちに校長になったが。指導する、誤りを指摘するだけでなく、ほめる、ねぎらう、そいう意識を持ってもらいたいと思った。

 

 

●東川 勝哉 委員(公益社団法人日本PTA全国協議会 会長)

何となくそうかなと思っていたが、データを見てショックを受けている。休職者の60%が「対処困難な児童・生徒」「保護者への対応」というところにインパクトを受けている。2ページグラフの急カーブが起こったあたりで、平成18年といえば教育基本法改正で家庭教育が定義された年。家庭教育によって増加が弱まったのか、それとも引き続き多くなっているととらえるか。教育を分ける際の家庭教育側がうまく行っていないのかとも思う。

対処困難は家庭環境起因か、特別配慮かの内訳はわかるか。というのは、特別配慮対象児童生徒は特別支援の経験が豊富な教員の場合はよいが、経験の浅い教員がぶつかりながらの困難もある。

学校だけでは厳しい、60%を減らすには家庭教育も必要だなと感じた。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

2ページで、急カーブのあとはわからない。好意的にとらえればストレスチェックが功を奏しているか。

対処困難はいろんな要素がある。調査を始めたころは発達障害系の児童生徒で、今までの方法が通用しなくなって休職した教員が多いと感じているが、家庭環境での問題もかなりあると思う。対処しにくい子供、どんな家庭かと聞くと、問題があったりということが多いと感じる。

クラス内で一部の子供がいろいろ難しい時、そちらにばかり気を取られると、残りの子供達が「なぜかまってくれない」となるパターンがある。また保護者が背後についているとなかなか注意できない。注意するとクレームが来るので、結局野放しになる、そうするうちにクラスが崩壊する事例など、いろいろな子供が含まれていると感じた。

 

 

●善積 康子 委員(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員)

民間コンサルとして学校に入って調査すると、意見が言いやすいか、連携ができているか、の質問に対し、意見が言えないと答えると、100%連携もできてないとなる。

3点お聞きしたい。

なぜ40代が多いか背景があれば教えてほしい。

学校種で年齢分布による差はないのか。

厚労省の調査でも特別支援学校が一番多かったが、他学校種よりも職場の環境が大きいようだが、このあたりの背景を教えてほしい。

 

 

十川 博 氏(公立学校共済組合 九州中央病院 メンタルヘルスセンター)

40代は責任感が重くなる、いろいろなことを任され、指導的な役割を求められる。学年主任になる年代。やはり責任が重くなる。また、今までの方法が通用しない子供たちが出てくる。もう一つは率直に言うと二十何年やってきて疲れてきている、エネルギーが枯渇しつつあることもある。

学校種による年齢の違いは調べてみないとわからない。

特別支援で同僚が上がって来るのかというと、特別支援は少数グループで複数教員で見ている。チーム一丸でやっている場合はいいが、意見の相違があるとストレスになってしまうということをよく聞く。特別支援学校のやり方に基づいていると思う。

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

十川先生、ご説明、質疑応答、ありがとうございました。それでは残る時間で全体的な意見交換をしていきたい。今回の論点、前回の体制整備の論点も含め、学校の労働安全衛生全般に関する意見交換をしていきたい。その前に、事務局から追加資料2点の説明を、三谷課長からお願いしたい。

 

 

●三谷 文部科学省 健康教育・食育課長

資料3を参照。

前回は29年のものが集計中だったが、完了したので追加したものである。

2ページの労働安全衛生管理体制等の整備状況で、平成26年比で下がってしまったデータがあるので分析中だが、担当者の異動、担当者の認識不足であったとのこと。

ストレスチェックの実施状況は。努力義務の50人未満の学校では64%程度。研修会も含めて周知をしていきたい。

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

もう一点、佐藤企画官から。

 

 

●佐藤 文部科学省 初等中等教育局 企画官

(資料5の「学校における働き方改革特別部会」で今後議論すべき論点、以下を全文読み上げ)

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

残り40分ほど、学校の労働安全衛生全般について意見を出していただきたいが、妹尾委員が資料(参考資料5)を用意しているので、その説明も合わせてまず、妹尾委員から。

 

 

●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)

参考資料5に、話題提案と提供をしている。

1ページは名古屋市立学校の時間外在校の分布、取れていない休憩時間は含んでいない。月80時間以上 時間外在校した際の医師の指導実施件数割合を見ると、1%も面談を受けていない。8月は若干上がるが、中学は1%未満、高校は年間で合計3人。産業医の体制整備があるかも大事だが、あったとしても、受けない、受ける余裕がないのが問題。このあたりは外形的なものだけでなく中身を問いたい。十川先生も面談を受ける人がなかなかいないという話もあったので、名古屋だけでなく全国的にそうだろう。

 

3ページでは他業界と比べても、小中学校教諭は過労死ライン超えの比率は突出していることを示している。

 

4ページは先日の富山の中学校教諭の過労死記事より。発症直前2か月は週120時間を超えている。この方は部活動の比重が大きかった。土日もほとんど練習か練習試合、2月で休みが2日しかない。休みが取れない、亡くなる方もいるという実態。

 

5ページは定年以外の離職者理由を調べたもの。毎年死亡が小中あわせて400~500人。病気や事故も含まれているが、過労でなくなる可能性、自殺も含まれるだろうが、そこまではこの統計ではわからないが。精神疾患で退職も毎年700名ほど。表立って報道など見えているものは氷山の一角であるだろう。

 

6ページは考えたい、提案したいこと。

労働安全衛生がこんなにひどい業界は他にない。やりがいは高いが、それだけに頼るのは限界だろう。よい人材も集まらない。

労働安全衛生管理について、カタチを整えるだけでは限界がある。中身と質が問われる。

現状把握、予防に努める。

 

7~8ページは具体策の提案である。

 

1、現状把握や予防対策に必要となる基礎的なデータをしっかりとれるようにする。

いくら努力義務とはいえ、50人未満の学校でストレスチェック実施60%程度ではいけない。共済組合とも連携しながらできるといい。

経験で学校経営している校長も多い。それに対応するには、データや根拠を示さないといけない。

 

2、養護教諭の負担軽減を大幅に進めるべき

たとえば健康診断の入力などはスクールサポートスタッフが支援するなど。

 

3、軽度のときに産業医による面談や受診ができるようにするべき

 

4、過労死や病気による不本意な退職はゼロにしたいが、起こったことについては全国的にしっかり検証し、教訓を活かす仕組みをつくる。

教員が死亡した場合なども、この人はかわいそうだったねえ、でおいてきぼりになっている。

 

5、「私立学校や国立附属学校へは労基署が入る(こともある)が、公立学校には労働衛生の専門性のある機関や人は誰も入らない」この常識と法制度を変えていく必要もあるのではないか。

 

 

清原 慶子 委員(東京都三鷹市長)

1点の情報提供と1つの意見

就労時間が長くなるほど抑うつ感が高くなるということだったが、三鷹市の事例で働き方改革プランで超過勤務を減らす取り組みをしているが、保護者に理解を求めるべく、各学校の取り組みを通知している。「三鷹市立では始業を8時15分、終業を4時45分としている。なお教員は給食指導で昼休みを取れないので、3時45分~4時30分を休憩時間としている。小中学校では留守番電話を設置していて、19時以降の問い合わせには留守電で対応する。山の日前後に日直を置かない閉庁日を5~9日もうけて、これも保護者に伝えるようにしている。保護者の理解があってこそ勤務時間の縮減が図られる。この夏が山場だ。

 

意見は、メンタルヘルスを維持ししていき、深刻にならないように、ハード面の充実。三鷹市役所では照明の明るさや机の間隔を、職員の提案から変えた。この前岡山の避難所を訪問する機会があったが、倉敷の学校の避難所(体育館)では発電機によるものだがエアコンがついていた。学校ではエアコンを、普通教室、特別教室、その他の順に設置するが、平時だけでなく、災害時のためにも体育館へ設置してほしい。また外に連れ出さないでと言われて、その代替の体育館にエアコンがあれば問題ない。エアコンやトイレ、女性などがほっとできる個室スペースを設けるといい。現状の学校でほとんどの職員室は大部屋。あるいはパソコンは一人一台あるか。全てメンタルヘルスハード面からの提案だ。

 

 

●相原 康伸 委員(全日本労働組合総連合会 事務局長)

妹尾委員資料で、法令上の義務に差がある、は指摘通りだ。産業医の設置の50人ライン、学校意と産業医の責任の所在の指摘についても課題が指摘されている。50人未満を是とする意見ではなく、それ以前に法令体制を整えるのがいいのではないか。

メンタルヘルスの関係について、学校の安全衛生体制はまだまだ確立には至っていない。前回のヒアリング、今回のデータ提示で明らかになったと思っている。ストレスチェックも50人未満は努力義務になっているが、そもそも、労働安全衛生に関して、規模によって差があるのはおかしいという立場になって議論してもいいだろう。50人未満のところでも、複数の学校をまとめて体制を整えるところもあるが、工夫努力に任せるのではなく、大本を変えていく必要がある。

 

 

●稲継 裕昭 委員(早稲田大学政治経済学術院 教授)

話を聞いてもらえばよかった、の点で、相手は産業医か病院に電話窓口、同僚や養護教諭、その人達の傾聴力を上げる、さっきの実習はそこにもやってほしい。3つ目、校長や主幹教諭が傾聴を取れる体制を作る必要がある。研修で十分なのか。機会を無理にでも作る必要がある。平成28年4月から人事評価が義務付けられている。一年のサイクルで回したら複数回の面談の機会があるから、そこで傾聴できる管理職がいればいろいろキャッチして予防できるようになる。そういう体制を作る必要がある。

 

 

●富士道 正尋 委員(前小金井市立南中学校 校長・全日本中学校長会 事務局主事)

資料5の「学校の労働安全衛生管理の在り方について(検討視点)」について。

労働衛生安全管理の体制つくりは進んでいるが、箱を作ってもそのあと、運用はどうするか。現場でストレスチェックをしているが、しかし機関にかかる者はほとんどいない。これを上げていくのが重要。また同資料4項目目で指摘している、その他専門スタッフをどう活用するか。スクールカウンセラーも傾聴はプロだから、そういった方を活用するとして、中身の活用方法になるのかな、もう一つは教員は忙しいので、長期休業を活用してこうした相談を機会を取れるようにする、そういう体制つくりを。中学は部活は忙しいが、空けてでもいきなさいというシステムを作りながらやってあげるのが重要なのかなと思う。

 

 

●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)

資料5 の件で述べたい。

いくつかのレベルの問題があって、法令で定められている事項について、効果的に使っていくやり方がある。制度だけあってもうまく機能しないなら問題、何をやればいいのか明確に示されることが重要。具体的には現行制度のありかたについて検討するべき点があるのではないか、それから制度が機能するようにどのようなことを考えるか。現場では制度があることをわかっているが、イメージが伝わりにくい状況が少ないかと思う。面接が行われたケースが少ないとはいえあるのだから、それが予防につながったというものがあればそれを周知する、というようなものが大事。先日働き方関連法案が成立したが、法令ではないが、参院の厚生労働委員会では教員の働き方が付帯決議と挙げられているが、情報を部会で共有して進めていくのが望ましい。法制度以外に、学校現場のインフォーマルのやり取りの中で健康被害の予防を図っていく視点もある。学校から見て第三者、医師もそうだが、民間企業ではホットラインで悩みを相談できるところもあるが、そういったものもある。日常的に仕事を進めていくうえで問題を解決する、悩みを解決する、そこの中に労働安全衛生がある。対処困難な児童・生徒への対応や保護者対応が問題とあるが、労働安全衛生だけを考えて解決するものではなく、労働全体の中で考えていく必要がある。

学校の第三者から見ての労働安全衛生、事前のもの、起きてしまった事後のもの、区別して検討することが重要。

 

 

●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科 准教授)

資料5について

国を想定した場合できることを考えたい。教員も保護者も、職場としての学校をあまり意識していない。それを認識する、表示することが重要。具体的には学校評価にそういう要素を盛り込むことが重要。自己評価、学校関係者評価では教育の場であることに傾くが、職場としてどうかという視点を入れる。学校要覧などに職場としての要素が何ら書かれていないが、それも検討した方がいい。学校を想定した場合、不調を感じて休みを取る、診断を受ける、リフレッシュには有給休暇を取るべきだが、授業期間中に無理だろうという考える人が多い。ある学校では前の週の真ん中あたりに申請すれば時間割を組み替えている。マンパワーはかかるが、優秀事例として国で収集してほしい。

 

 

●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部 教授)

検討の際、こういう視点も合わせていく必要があると思うのが、教員研修の体系化。教員研修の体系化はさんざんやってきたテーマで、年代時代を背景にしながらありようを構想し検討し下ろしてきた歴史と蓄積があるが、教師の心の在り方、成長の在り方とそれらが連動しなかったことが反省点も含めて検討すべき視点があるのではないかと思う。入職から退職まで一直線の成長を理想とし、研修を付加していく。そこにメンタルヘルスを入れるなら、人として教師としてのありようを付加し、組み立てていくと、教師の成長の姿が描けると思う。それを労働安全衛生の体制と重ねながら検討していく視点がある。それも加えていただきながら検討していく

自らの健康は自ら守るという理念、精神をつくる環境であったか。そういう視点でも議論を重ねていく必要がある。

 

 

●嶋田 晶子委員(武蔵野市立第五小学校 校長・全連小理事・東京都小学校 校長会副会長)

資料5で3点目の学校規模に応じてとあったが、小さい学校程一人の負担が多いので、サポートスタッフを入れてほしい。なぜ管理職が傾聴的なものを持てないか、それには校長(自身)が相談できる場所も必要。校長をしていて、後ろが絶壁と感じた。また、今の廊下は35度、寒い時は0度。ハード面のこと(空調)も衛生管理から必要。

 

 

●善積 康子 委員(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員)

休職が一人でも出た時点で再発防止策を考える。作り得なくても考えることで意識づけにつながる。そういう流れを作った方がいい。チューターの考え方があってもいい。年齢が離れた教員に相談しにくいこともある。40代は誰に相談するのか。民間のチューターのような考えを導入し、この人を相談パートナーにする、そこから学校の風土改革につなげていくと、カウンセリングに行く前に気軽にできるのではないか。

 

 

★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)

今日もたくさんの意見をありがとうございます。時間も過ぎたのでこれで終了とします。

次回の日程は追って連絡します。

 

 


 

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