名古屋座談会 2017.5


議事内容

①部活改革ネットワークについて

【成立の経緯】

○部活について話したい人が2017年3月末に西日本某所に集まった

○年度末~年度はじめにかけて、集まった人たちのグループチャットが役立った

〇お互いに部活動のあり方の改善について相談し、職場での改善に役立った。

〇相談の場があるだけで改善の大きな力になる。この良さを全国に共有したい。

〇某所に集まった人が全国に帰り、問題意識を共有できそうな親しい人に個別に声をかけ始めて、各地域のネットワークが個人的な縁故で広がりつつある。主にツイッターにて。現在、人数が50人規模まで増えてしまったので、今後のメンバー増加については慎重に進めたい。

○ネットワークは学校現場の各教員が集まれる場。全国で現在54人。

○ネットワーク内でも、部活動のあるべき姿は個人によって異なる。

○大枠として「部活について改善をしたい」という点のみを共有して広くつながりたい。排除はしたくない。

○一度ネットワークに加入した人が、嫌悪感を抱いて離脱した場合に情報漏洩が怖い。それを起こさないために、「大枠」を設けて様々な立場の人が加入できて、包摂できるようにしていく必要がある。排除は望ましくない。これから真剣に向き合っていく必要のある課題。例えば、ネットワークに加入していない人の発言に共感したら「いいね」や「リツイート」をしていくこと。

〇ネットワークは、公に開いておけるといい。しかし、公式アカウントがあることで、メンバーに誘われないことに不満をもつ人が出るのは当然のこと。どのようにすれば、公に開くことができるだろうか。

〇部活問題を含め、将来教員の働き方が改善したら、このネットワークは解散してもいい。

 

 

②教働コラムズについて

〇教員の働き方について、悩める教員や教員の家族・生徒・保護者などすべての人の苦しみが少しでもなくなることを願い2017.5.1に『教働コラムズ』(⇒本サイト)というサイトを開設した。

〇様々な組織が立ち上がって行動に移しているが、何かを変えていくには時間がかかる。その間に埋もれてしまう声を拾い、より多くの人に知ってもらいたい。部活改革ネットワークの加入者は教員が主だけれど、教働コラムズはより広くの立場の人の声を拾い上げたい。『教働コラムズ』は『部活改革ネットワーク』を含め、教員の働き方の改善を応援したい。

 

 

③生徒が受ける被害

【生徒が学校で人権侵害の被害に遭うことは阻止する必要がある】

〇生徒が部活動を退部したいと主張した時に、徹底的に学校から阻止されたことがあった。学校は、生徒に部活動をやらせようとする傾向がある。このような現状の中で、部活動指導員の導入や国家資格化は、教員の負担軽減にはなるかもしれない。しかし、これが生徒にとって有害になってしまう危険性はないだろうか。教員だけでなく、生徒の負担も考えていく必要がある。苦しんでいる誰もが救われるようにしていく必要がある。

〇教員よりも生徒の部活問題の方が深刻で、教員として生徒を守っていきたい。生徒が部活動に強制加入させられている現状は、人権侵害で大問題。

〇PTA会費としての集金約1万円(年間)を、部活動費用に流用している。これを実施するためには、生徒を強制で全員加入にする必要がある。また、その背景には、教員集団の半数強が部活動の維持が必要だと考えていることがある。その理由は「全員加入を義務づけないと、部員が減ってしまって、部活動を維持できなくなる。学校の目玉の某部が廃れてしまうのはまずい。また、部活動で放課後に拘束をしておかないと問題行動を起こすので、その抑制のために部活動への全員加入が必要」というもの。これら全て、「生徒のため」を考えてのことではない!文科省は生徒の強制入部については認知しておらず「学習指導要領では、自主的・自発的な参加による部活動と定めている」と回答している。このことからすれば、生徒に加入を義務づけることは学習指導要領に違反している。校長に、「もし保護者から訴訟を起こされたら負けますよ」と指摘したら、「そんなことはわかっている!」と回答があった。校長は、違反行為であることを自覚しているにも関わらず、生徒への不当な強制入部を改めようとしない。「せめて生徒・保護者に説明して、事前に納得してもらった上で、強制入部を実施する必要があるのではないですか?」と質問をした。すると校長は黙ってしまった。これは高校での出来事なので、義務教育とは問題の深刻さが異なる。もし義務教育であれば、大問題。一方で、高校は生徒が選択することができる。しかし、この学校は、強制入部であることを入試前に一切、公にしていない。入学した後に初めて判明する事実なので、これは不当だ。

 

【行事が保護者向けの無料のサーカスになっている】

〇愛知県には、キャンプの宿泊行事で「火の舞」がある。火のついた棒を振り回す催し。危険なので、入念な練習が必要。また、キャンプの前には火をつけてのリハーサルを実施する。そこに保護者を呼んで、お披露目をする。我が子の晴れ姿を見たいという保護者の気持ちに応えるためのものだと思うが、過剰なサービスではないだろうか。

 

【部活動が高校進学に有利になると思い込ませてしまっては、生徒に有害】

新入生とその保護者が、部活動と高校進学の関係性をとても気にしていた。調査書で、部活動をやっていたことが有利に書かれると思っていて、部活動に参加しなくてはならないという無言の圧力がある。そのために、好きでやっている習い事やクラブチームを辞めて、無理して学校部活動に参加しようとした生徒や,実際している生徒がいる。学年主任も担任も「そんなことしなくていいよ」と生徒に教えている。しかし,保護者や子どもに浸透するまでは時間がかかりそうである。また,一部の教員の中では「クラブチームの子どもたちはプライドが高く監督以外の人の言うことはきかない」などといって部活動に入れた方が望ましいという者もいる。プロの指導者の元で純粋にスポーツを頑張りたいと思っている生徒が気の毒。しかし、学校としてこうした状況に対応しようとしない。管理職や同僚にこの問題を話そうとしても、「部活動は生徒も教員もやって当たり前」という無言の圧力(慣習)があり、問題提起をしにくい。「改善の余地があるのでは?」と発言を続けている。しかし、学校全体として、ちゃんと生徒や保護者に説明するには至っていない。この現状を生徒に申し訳なく思う。その分、個人的に生徒に説明をするようにしている。

 

 

④教員としてのあり方

【教員として子どもの成長に真剣に向き合いたい】

〇自分のクラスの子どもだけが成長しているだけでは物足りない。学校全体で子どもたちが成長していけるようにしていきたい。そのために力を尽くすという使命感を抱くようになってきた。

〇〇UNESCOの前文が素晴らしい。「なぜ争いが起こってしまうのか。それは、相手のことを知らないからだ。」これは戦争の本質を突いている。だからこそ、平和のために教育の果たす役割は大きい。

 

【教員の働き方・職務内容について】 

○労働問題を挙げだすとキリがない。部活動だけでなく、勤務時間・仕事量の上限がない。

○勤務時間終了後の下校指導が、職員会議の要項に職務として記載されている。

○教員志望者の人と話した。とても有意義だった。教員以外の人の声も拾いたい。

〇給食指導の時間帯が休憩時間とされているが、実質休憩はとれない。

〇正面から検討をすると、勤務時間内に納まりきらないだけの仕事量がある。部活動だけでなく、他の業務量があまりにも多すぎる。

〇これまで、どこかの時点で、仕事量をセーブする必要があった。

〇教育的意義と教員の労働問題は、常にせめぎ合ってしまう関係にある。どんな教育活動であっても、それに教育的意義はある。だからこそ、これまで教員の仕事量は増加の一途をたどってきた。しかし、これだけの業務量を負っていることが、総合的に見て、果たして子どものためになっているだろうか。教員の負担を減らすことは教育の質を向上させることにつながる。これこそ本当の「子どものため」ではないか。

〇超勤四項目等のルールを多くの人が知らない。教員も教員以外の人も、皆が教員の勤務についてのルールを知れば、それだけで現状がおかしいと気づけるはず。気づけば、現状を変えていこうとする原動力になるはず。大きい動きも大切だけれど、1人1人がルールを知るだけで大きな影響があるはず。(超勤四項目などの)ルールを知っても、現状を変えるのに抵抗をもつ人は残る。しかし、それは極少数になるはず。

〇TVドラマなんかで、生徒が登校している中を教員が自転車で出勤しているシーンがよくある。これは教員の勤務時間開始前に生徒が登校するということ。勤務開始時間の設定を再検討する余地がある。

〇労働環境の改善をしたいという教員の思いの根底には、子どもの利益に直結する仕事をもっとしたいという思いがある。それが、なかなかうまく伝わらない。

〇講師を数年間やってきた。その経験上、果たして教員としてこのまま長時間過重な職務を続けられるだろうかと深く悩んだ時期があった。このまま教員になるのを諦めるか、教員になって現状を変えるか。悩んだ末に、教員になって現状を変えることを決意した。まわりから「頭のおかしい奴だと思われても、現状を改善するんだ」と決意を固めてから、職場環境の改善に取り組めるようになった。勤務時間を越えながら、職場の環境を改善するために自主的にやれることをやっている。職場の先生たちが働きやすくなるように、まずは学校環境を整えたいと思って行動をしている。勤務時間内にすべての職務を終えられるようになることが望ましいと考えているけれど、仮にそれが実現されるとしても、遠い将来のことになるのかもしれないと思っている。

 

【小学校における部活動と教員の長時間過重労働について】 

〇部活だけじゃなく、教員の長時間労働について問題意識をもっている。

〇部活動は外部化して学校から切り離してもらいたい。最先端の情報を知り、発信していきたい。

○小学校には部活がないと言われる。しかし、部活がある小学校もある。

〇学習指導要領の『小学校総則』には部活動についての記述はない。『小学校総則解説』には部活動についての記述がある。

○小学校では、教員が全員顧問をしない。主に若手が担う。

○小学校は、部活がなくても大変な業務量がある

○初任研に行く途中に、「部活動は正式な職務ではないので断れる。初任者は、まずは部活動以外の授業・学級運営等の教員としての基礎的な職務に力を注ぐことが必要。」というちらしをもらって励まされた。

○校長に「顧問をしません」と言った。しかし「君の言っていることは正しいが、顧問はやってもらう」と言われ、やらざるを得ないことになった。休憩時間が15:45から16:30に設定されているが、部活も15:45分から始まる。校長からの命令で休憩を取れない状態は異常だと思っている。今いる小学校では、若手教員は顧問を強制的にやらされる。4年生以上の児童が自由参加。スポーツ少年団との境界も曖昧で、17:30までは学校の部活。それ以降は、地域の指導者が来てそのまま続ける部活動がある。

○ある部の顧問が「大会が近いので延長させてもらいたい」と学校に要求。すると、全ての部が6時まで活動時間延長となった。これは主顧問たちだけで勝手に決められていた。

○勤務地区では「部活動は週3日」というルールがある。しかし、熱心な顧問はそのルールを無視して週5日やる。土日は顧問として部活動ができなければ、外部指導者として同じ部活動の指導に当たっている。

 

【PTA行事についての教員の過重負担と、それによる教育の質低下が生徒の不利益になる】

中学校でのPTA行事で、教員が親のための講座を企画しなくてはならない。例えば文化講座を開くために、外部から専門家を呼ぶ。実施日に都合のつく講師を探すために連絡を何度もしたり、親の参加希望者の集計をしたりするために多くの時間・労力を費やす。しかし、例年の慣習が残って実施が継続されているだけで、親がこのような会を望んでいる様子でもない。(活動が開始した時には、親と教員で「やりましょう」という必要感があって始まったのかもしれない。しかし、必要感がなくなった現在でもまだ継続している。やる・やらないだけを考えれば、「やった方が良い」ことではあるので、その視点だけから判断されてまだ残っている。しかし、現状で誰からも必要とされていない行事を成立・維持していくために、とても多くの時間・労力がかかり、夜遅くまで残って仕事に従事せざるを得ない状況。疲れ切って教壇に立つことになる。これで、教師として誠実に子どもに向き合っていると言えるのだろうか。)

 

【「勤務時間」という概念が存在しないこの業界~「修学旅行」の事例より】

修学旅行の当日には、数十人の教員が早朝5:00から駐車場準備をして、保護者の車の誘導を行い、生徒を迎える。また、修学旅行からの帰りも20:00まで残り、同じように教員が数十人で迎える。時間外という意識が乏しい。

 

【「勤務時間」という概念が存在しないこの業界~「部活動を夜9時まで延長…えっ?全校で?」】 

ある部活動顧問が、夜9時まで活動したいと言い出した。それに対し、私がせめて「専門学科は部活優先、普通科は勉強優先など学科によって決めるべきではないか」と提案したら、大いに賛同され、「専門学科は夜9字まで部活、普通科は強制的に夜9時まで補習するなどすべきだ」と言われた。部活大好きな教員の勤務と生徒の拘束時間に関する考え方を目の当たりにして驚いた。

 

【少人数の組合が、学校に仕事量のセーブを働きかけることができるのはなぜ?】

○他の組合が部活問題や教員の働き方の改善に取り組めない中、なぜ愛教労が取り組めるのか?これは、単純に人数が少ないから。大人数の組織になるほど「教育的に価値があるから」という価値観の人が仕事量のセーブに反対する。人が多くなればなるほど、主張の種類も様々になり、何も主張ができなくなる傾向がある。

 

【全中の開催地域となった中学校教員たちの過重負担】

全中が自分の地域で実施された時に、とても大変な仕事量があって疲弊した。あらゆる先生が動員されて、その大会の運営に尽力した。夏休み中に、子ども・教員ともに土日なく活動する必要があった。全中が牽引して実施された活動だったのだけれど、果たしてどれだけの子ども・教員がこのような活動を望んでいたのだろうか。

 

【部活動で同僚が倒れた。そのしわ寄せが妊娠中の教員に。】

ある部活動で、専門の指導をしていた主顧問が過労で倒れて数ヶ月の病休を取ることになった。その間 部活動の技術のみ教える非常勤の先生が来られることになったが,学校のカギ開けや生徒の管理をするために,副顧問だった妊娠中の教諭が毎週土日に出勤することになってしまった。責任感のある教諭だったので、やらざるを得ないと思われてご尽力されていた。自分は他の部活動の顧問を務めていて、サポートしてあげられなく、心苦しく思った。

 

【部活動による教員の健康被害】

校長は「勤務時間外の部活動は職務ではない」と言う。しかし、顧問を割り当てられ、勤務時間を越えても子どもたちが活動している以上、顧問として責任を負っている。部活動が終わるまでは、顧問という仕事があり、子どもたちの下校を見届けてから、職員室で授業準備や事務仕事をすることになる。部活と本務のトータルで多くの教員が当たり前のように長時間労働になっていて、健康を害する。

 

【校外学習についての教員の負担感】

某県では、小学生が湖上で船上宿泊学習をする。湖の微生物を観察したり水質を調査したりする環境学習の一環である。(複数校で集まっての大規模行事でもあるので多数の学校間で連携しての入念な準備が必要でそちらに時間・労力が割かれて、日頃の授業に支障が出る。ギリギリのところで業務に耐えている。)

 

 

⑤部活問題 総論

【多治見市のある岐阜県の部活事情】

○岐阜の中学校が、文科省が掲げる例になりえる。ぜひ岐阜の成功例に注目してもらいたい。先例があれば教育委員会は動きやすいはず。そもそも平成10年頃に文科省から「教員の多忙化を解消する目的」で全国的に研究指定校を置いた。他県がどんどんつぶれていく中で、岐阜は生き残り、部活動の総時間数が少ない。

〇岐阜県 土岐市では、学校が部活動を抱え込む傾向が強かった。教員が抱え込む代わりに、下校時刻にはキッチリ終わらせるようにした。同県瑞浪市では多治見に倣って外部化を進めたものの、外部指導者に関し問題が起きたようだ。詳しくはわからない。ある市では、18時まで部活動をやって一時帰宅。生徒は19時に集合してスポーツクラブとして外部コーチの指導を受ける。しかし、大会への引率は教員がしなくてはならなかった。多治見市では、教員が部活動の顧問をして、勤務時間内に一度部活動は終了する。その後も引き続き教員が外部コーチの立場で指導を続ける部もあるが、そうした例は少ないと聞く。しかし、多治見市の教員から様子を聞いてみると、「言われているほど成功しているわけではなく、実際はけっこうルーズな部分がある」と言っていた。

○岐阜県は、内田先生の記事にも表されているように、中学校部活動の活動時間が他と比べて著しく短い。独自に調査を行った事がある。

○郡上市は、月水金は教員。他は外部指導者。田舎で地域の人の支えがある状態。多治見よりも外部化が進んでいるようである。

○また岐阜県のいくつかの市は 17時で部活が終了。自治体毎に、外部化の取り組みが相当上手く機能している。

 

【教育課程外の部活動が、教育課程内の授業等よりも優先されることへの違和感】

生徒会で応援団の練習をグラウンドでしようとするときも、部活動の朝練・昼練・夕方練習があって、学校行事や生徒会よりも部活動が優先されている。そのため、生徒会で昼休みに集合する必要があっても、集合できないことがある。教育課程外の部活動が、教育課程内の活動の妨げになっている。部活動が、正課の教育活動の妨げとなっている実態はおかしい。その結果として、夕方の部活動が終了した午後6時から、昼や夕方にできなかった行事準備や生徒会の会合等を生徒たちと進めざるを得ない状況がある。(暗くなってから生徒を帰宅させるのは、生徒の安全を犠牲にしている。)こうした犠牲を払ってまで部活動が優先されている現状はおかしいのではないか。部活動が終わってから、体育館に集まって行事・生徒会等の活動を始めた場合に、生徒の退校が夜10時になることがある。教員が車に乗せて自宅まで送って行ったり、保護者に迎えにきてもらったり。これは流石に、保護者からクレームが来たことがあった。クレームが来て当然だと思う。(教員が自分の車で送った場合に事故が起きたら、保障ができない。)近年は工夫を重ねて夜7時までには退校させるようにしているが、午後6時にしか始められないのでどうしても午後7時にはなってしまう。

 

【修学旅行先で、なぜ部活動?】

修学旅行先で、なぜか運動部が朝練をする。部活動ごとの道具や場所がないので、複数の運動部を集めてランニングや筋トレ等の基礎体力づくりのような活動を実施している。これが若手教員の役割となっているが、若手教員は修学旅行で寝ずの番をしている。健康を削りながら実施している状況。修学旅行先でこんなことが必要だろうか。(そこでの練習にどれだけの効果があるかは疑わしい。修学旅行という校外での学習活動で生徒も疲れるのに、より疲れさせてしまう。教員も疲弊するので、日中の活動がより危険になってしまう。なぜこんなことをするのだろう。修学旅行に行ってまでも活動をした、頑張ったという事実に価値があるように思い込んでいるのではないか。)

 

【ある塾が「ブラック部活動リスト」を配布した影響】

〇ある塾が塾生に「各学校のブラック部活動リスト」を配布。「この学校のこの部活動に入ると、長時間・連日の練習をしなくてはならなくなり、学習が疎かになってしまう危険性がある。」というもの。それによって、ブラック部活動に該当する部への新入部員(特に女子)が減少したらしいが、これはつまり、その子ども達がそのような部活動を求めていないということを意味する。

 

【部活動による生徒の問題行動抑止効果について】

部活動に参加させていれば、生徒が問題行動を起こさないというのは、成功事例を思い描いた空論とも言える。実際には、問題行動を起こす生徒を強制入部させても、部活動に不参加になって問題行動を起こす場合の方が多い。「部活で生徒に問題行動を起こさせない」という成功事例は、4つの条件が重なって初めて成立する。

〔4条件〕

①問題行動を起こす生徒のうち、学業面では力を発揮できないが、スポーツ・文化活動では力を発揮できる生徒であること。

②顧問がその部の専門的な指導力を偶然もっていること。

③顧問が、その生徒が部活動で活躍できるように場を整えるような配慮をしていること。

④これらがすべて上手くかみ合い、その生徒が部活動で溌剌と活動ができ、問題行動を起こさないようになること。

*また、問題行動を起こしても、信頼している顧問の言葉なら聞き入れる状況にあること。

※こうした成功事例はドラマ等で感動物語となっていて、これが思い込みのもとになっているのではないか。