中央教育審議会初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会(第17回)
中教審 傍聴の記録
【中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会 委員】
50音順
・相原 康伸 氏
全日本労働組合総連合会 事務局長
・青木 栄一 氏
東北大学大学院教育学研究科 准教授
・天笠 茂 氏
千葉大学教育学部 特任教授
・小川 正人 氏 ★部会長
放送大学教養学部 教授
・風岡 治 氏
愛知教育大学教育支援専門職養成課程 准教授(2018年4月より.前職は豊橋市教育委員会教育政策課事務指導主事)
・川田 琢之 氏
筑波大学ビジネスサイエンス系 教授
清原 慶子 氏(欠席)
東京都三鷹市長
・佐古 秀一 氏
鳴門教育大学理事・副学長
・妹尾 昌俊 氏
学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー
・時久 惠子 氏
高知県香美市教育委員会 教育長
橋本 幸三 氏(欠席)
京都府教育委員会 教育長
・東川 勝哉 氏
公益社団法人日本PTA全国協議会 会長
・冨士道 正尋 氏
前小金井市立南中学校校長・全日本中学校長会 事務局主事
・無藤 隆 氏 ★部会長代理
白梅学園大学大学院 特任教授
・善積 康子 氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員
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・稲継 裕昭 氏
早稲田大学政治経済学術院 教授
嶋田 晶子 氏(欠席)
武蔵野市立第五小学校 校長・全連小理事・東京都小学校 校長会副会長
中教審 傍聴の記録
配布資料 ➡ PDF一括ダウンロード
資料1 2019年度概算要求主要事項(文部科学省初等中等教育局)
資料2-1 教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果について
資料2-2 教員勤務実態調査(平成28年度)集計(確定値)
資料2-3 教員勤務実態調査(平成28年度)(確定値)について
資料3 教師の長時間勤務是正のための勤務の在り方について
資料4 公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(仮称)の策定に向けて(意見のまとめ)
資料5-1 時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方に係る論点(例)
資料5-2 給特法に規定する仕組みの考え方~給特法の制定経緯から~
資料5-3 公立学校の教育公務員の勤務時間等について
資料5-4 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)【抄】
参考資料1 学校における働き方改革特別部会 委員(名簿)
参考資料2 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方に関する総合的な方策について(概要)
参考資料3 経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~(平成30年6月15日閣議決定)【抄】
参考資料4 「学校における働き方改革特別部会」で今後議論すべき論点
参考資料5-1 Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~(概要)
参考資料5-2 Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~
参考資料6 妹尾委員提出資料
各資料データは後日 文部科学省公式サイト で公開されます。
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議題
1、時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方について
2、その他
※ 以下の記録は各委員の発言要旨を聞き取れた範囲で記載したものです。発言内容すべてを網羅できているものではない点をご了承願います。
※発言者のうち部会委員を黒、部会長の進行を緑、文科省を橙、参考を臙脂で示す
ここから本議題
議論に先立ち、事務局より発言
●下間大臣官房審議官
7月に文部科学省幹部職員が起こした不祥事(収賄事件)に関するお詫び。
●佐藤 初等中等教育局企画官
配布資料に関する説明確認
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
本日の進め方について説明
最初に31年度概算要求 28年度実態調査の確定値 この2件について事務局から説明をしてもらう。
その後、時間外勤務 について議論を進めていく。
●合田 財務課長
資料説明
【資料1 2019年度概算要求主要事項(文部科学省初等中等教育局)について】
平成31年度概算要求で重視したのは以下の三点である
1) 働き方改革
2) 幼児教育の充実
3) Society 5.0関連
(※資料1は全98ページに及びます。こちらのPDFデータ からご確認ください)
【資料2-1 教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果について】
「確定値」というのは、速報値を正しく分類して確定値にしたが、数値に大きな変更はない。
<資料1についての意見や質問>
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
資料1について質問があればお願いしたい。
●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部 特任教授)
小学校専科教員、特に外国語の確保について。この政策進行を私個人は評価している。この累積(2019年度要求1000人、2026年までに3000人)には将来の見通しがあるのか。充実策の方向性などがあれば教えてほしい。
●合田 財務課長
2020年から中高学年で週1コマ増加する。これが教員の勤務時間増になってはいけない。その観点から、そこに対応するのに必要な専科教員が4000人である。今年度1000人導入した。そして来年度要求でまた1000人。2020年度に残る2000人を要求する予定。財務省との調整はあるが、小学校教員が一日平均4時間25分教壇に立っている現状で、必要な加配措置として要求している。その他の条件整備も、部会の議論を踏まえて図っていきたい。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
1) 部活動指導員について。13億円の概算要求で12,000人となると、一人当たり11万、国の負担割合が3分の1としても30万ちょっとになる。単価が低いと人も集まらないと思うが、このあたりをどう考えるか。
2) スクールサポートも義務教育主体に充てている思う。その重要性はわかるが、高校、特支の政策はどう考えるか。
●相原 康伸 委員(全日本労働組合総連合会 事務局長)
Society5.0に関して。タイトルから、技術的な側面からの予算という子とは理解した。世の中のSDGsが教育現場で行かされることが重要だ。
●合田 財務課長
➡妹尾1) 積算根拠は1回2時間が週3回で×35週、 一回1600円で考えた。部活指導員を非常勤の地方公務員にしてもらい、中学の教員が顧問や引率をしなくてよい環境づくりが大事。人材確保は教員OB、教育学部生、地元の体協の協力で人材確保している自治体もある。国会では資格化するという議論もある。
➡妹尾2) もちろん高校も大事だ。知財措置だが、昨年は1800人を組み込んで、今年も要求している。
➡相原 社会の構造的変化に対応して書いたが、SDGsの重要性は理解している。指導要録にも記載されたのでその観点も踏まえてすすめていく。
<資料2-1についての意見や質問>
●相原 康伸 委員(全日本労働組合総連合会 事務局長)
1) 結局のところ、教員は年間何時間働いているのか。総労働時間は?
2) 実施授業の標準時間が1000ちょっとだが、標準時間そのものに上限設定はあるのか。
●合田 財務課長
➡相原 1) 調査は一定期間の学期についてのもので、それを前提に、夏休み等は推計に推計を重ね、小学校は週当たり59時間の時間外、中学校は夏休みも含めて均して、平均81時間時間外勤務をしている。年間は、大雑把に言うと、法定の総労働時間2000時間弱に対して、小学校は年間800時間、中学校は1000時間を超える総量を加えたものが、在勤時間になる。どういうガイドラインで見定め、どう減らしていくか、議論をお願いしたい。
➡相原 2) 年間総授業時数は決まっている。標準である。指導要領自体は「下回らないこと」であり、上回ることへの上限規制はない。実際に授業計画上の時数を取ってみると、標準通りのところもあるが、週1~3程度上回る計画を作っている学校もある。上限を法令、制度上設けてはいない。学校は事情があって増やしているだろうが、働き方という観点で、より効果的な設置が必要になって来るとは思う。本部会の論点にはなっていく。
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
労働の時間の長さに着目した分析で間違いはないが、短い方の働き方はどうなっているか。育児介護の負担がある方はどうか。長い人と比べてどういう特徴があるか。仕事の配分を見直すにあたってそれまでに開きがあれば、それを埋めることで、現時点で短い方の働く時間が増える可能性があるのか。可能であればデータを披露してほしい。
●合田 財務課長
資料2-1 2ページの Q14-1で、6歳未満の子供ありという属性の教員は 一日平均で、小学校だと41分、中学校で29分短い。様々な工夫をして、学校全体で配慮をしていると理解している。
また3ページで、学校全体の取組が重要とわかる。小学校だと、土日に行事が入る、ノー残業デーが少ない、研究校であると長くなる。
●佐古 秀一 委員(鳴門教育大学理事・副学長)
勤務時間増の中身についてだが、授業や準備、成績処理等の本来業務で増えている。コマ数より、小学校では教える中身が複雑化し準備が長くなる。若い教員の勤務時間が長いのは、対応困難な状況が起きているのではないか。若い教員の力を伸ばしていかないと改革が進まない。どう学校内で育てるかの施策を考える必要がある。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
人材育成が大事という佐古委員の立場に同意する。その上で
1) 部活顧問の割合は、校内で顧問を引き受けている人数の割合か。なぜ部活指導時間で取らなかったのか。
2) 休憩時間の調査結果は、実際に何分だったのか。資料2-1の4ページで、週60時間以上・未満勤務をラインに比較があるが、休憩は15分単位解答なので、少しの休憩を0と回答した結果、平均が1~3分になっていると思うが、休憩が取れないのは大問題だ。実態がわかれば、データがあれば出してほしい。
3) 6歳未満の子供がいると時間が短い、というのは持ち帰りなしなのか、自宅残業も含めてトータルで考えるとどうなのか。もっと広く教員一人当たり、持ち帰りも含めてどのぐらいやっているか、どこかで調査してほしい。
4) 資料2-1 3ページ(前出)、 回帰分析上、差が出なかったところにも注目する必要がある。学校課題は差がついていない。困難度が高まっても必ずしも長時間ということになっていないので、(困難校ほど勤務時間が長くなるという)イメージとは違う。関連したコメントがあればほしい。
●合田 財務課長
ーー>妹尾 1) そのとおり。指導時間との比較というのは、総学内時間の一つなので
ーー>妹尾 2) 3) 持ち帰らせてほしい。
ーー>妹尾 4) データから回帰分析結果なので、量や質に影響を及ぼしているとは思うので、そこは見させていただきたい。
●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科 准教授)
(このデータ分析にかかわった)
2006年は7月から6か月推移でデータを取ったが、それを参考にして推計している。
ICカード等でより確実な時間データが得られつつあるので、それが蓄積されればより精度の高い分析ができる。
2006年では短い人に注目したが、持ち帰りのできる子育ての女性が残業時間は短かった。
学校全体が勤務時間が短い所に訪問したみたところ、外形的条件(スクールバスで生徒が通学、部活の場所を地域と共有など)で必然的に短くなったということであった。
<本日の本題議論へ>
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
前回の意見を整理したものを中心に議論していきたい。そのあとガイドラインなど全体について進めていきたい。
最初は資料3について事務局から説明していただき、その後に前回議論を踏まえた、策定に向けた議論を資料4に基づいて進めたい。
●佐藤 初等中等教育局企画官
【資料3について】
ガイドラインは出して終わり、ではなく、適正化についても中間まとめで示されたので、弾力的運用も含め検討する。
予算の確保充実を目指していく。
制度的措置はそれ単体ではなく、他政策とあいまって進めていかないといけない。
【資料4について】
(ほぼ書いてある通り)
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
それでは、意見交換を
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
参考資料6を添えたので、補足等申し上げたい。
月45時間はかなりハードルが高い。たとえば、1時間の部活×20日でもう半分に行く。
痛みを伴う改革が必要。部活を大幅に削減できるか。スポーツ庁ガイドライン以上に考える必要がある。給食や昼休み指導を担任がというのを見直す、行事を見直す、等のメスが必要。
それで限界なら教員、スタッフの数を増やすべきだ。特に小学校はコマ数が多いので。
本気で目標達成をするなら、時間の上限だけでなく、持ち時間の上限も必要。
資料2-3の後ろの方、31ページによれば 小学校で26コマ以上担当する教員が41%いる。
また、標準授業時数は、緊急時等は下回っていいい、と教委や国が宣言してもいい。
年間変形労働制をやっても、先の選択なくしては4月5月で苦しくなるだろう。
●稲継 裕昭 委員(早稲田大学政治経済学術院 教授)
資料3 の(1)~(6)までは重要だ。ベースになるのはエビデンス。現状は何時間残業しているのかわからない。10年に一度しか全体像がわからないのは問題だ。普通はマネジメントの観点からも必ず把握するものである。(4)客観的把握の徹底について、本気で取り組む必要がある。そこから他の政策がでてくる。
資料4 の2ページ、 実効性を求める方策について、上限を示しても、本当に守られるか、実効性の担保がポイントだ。市町村別、学校別に公表することで、インセンティブを持たせるという方法もある。
監督機関のことだが、都道府県と政令市以外は首長。法的に複雑である。(教員、事務職員など)職種によっても異なる。事務局に、その一覧表の作成をお願いしたい。
●佐古 秀一 委員(鳴門教育大学理事・副学長)
時間外労働は※月45時間に収まるのが前提である。そうでないと意味がない。これぐらいにすると収まります、という指標、モデルがないと時間の妥当性がない。
時間数の把握は非常に難しい。基本的に学校に在校する時間を目安にするのがよい。学校ぐるみで行動できている所は勤務時間は相対的に短い。教員には努力する、長く子供のためにがんばるのがいい教師という文化が残っているので、時間できっちり終わるのが望ましいという考えを浸透させる必要がある。
(※「週」の表記を「月」に修正いたしました。2018.9.30 教働コラムズ)
●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部 特任教授)
資料3について(1)~(6)を総合的という方向性で進めるのは大切である。 (2)組織運営体制の在り方は、学校ぐるみで事柄の改善を図っていくことが大切だ。当然、マネジメントの在り方、リーダーシップがこれまでどうで、これからどう展望するかを書き込んでいくことが大切だ。
資料4についてだが、ガイドラインは学校に近いところにあるのが大切だ。策定のプロセスに社会の目があることに意義がある。国の立場では極めて限定されるべきで、それがローカルでどう扱われるのか。その自助努力を阻むことには慎重であるべきだ。
●相原 康伸 委員(全日本労働組合総連合会 事務局長)
環境条件だが、法律が変わってきている。罰則付きであることに重きを置くべきだ。公務員民間を問わず、クオリティを挙げる労働時間を短縮し、働き方を改革するべきである。
法的拘束力が必要だ。背景なくしてガイドラインの言葉だけが先行する事例はこれまで多数あった。これだけ時間をかけて、本気で改革をというのだから、法的担保は重要だ。
給特法そのものの議論をどう決着するのかと並行して議論せざるをえない。ガイドラインの法的拘束の帰着をどこにするのか。
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
資料4 の2ページ、時間数について教員特有の事情考慮は必要かもしれないが、社会一般と比べて教員の労働時間が長くていいという議論になってはいけない。民間に出された数字を超えるべきではない。それを前提にすると、現状との関係でどうやって実現するかのハードルが高いのは事実だ。ガイドラインの中身がどうあれ、どう実現するかの方策を示すのが大事だ。
ガイドライン策定のプロセスをどうするのか。ある程度現場に近いところで作るのが望ましい。一方で国の役割として、FAQ、モデルケース、いくつかの選択を示すなどの役割がある。
ガイドライン策定後の対策だが、実際に使ってPDCAをしてみるのがよい。記録の取り方や公表について考えるとよい。
●富士道 正尋 委員(前小金井市立南中学校 校長・全日本中学校長会 事務局主事)
ガイドラインが画餅、他人事になってはおしまいだ。教員は自分の勤務時間のことはわかっていても、同僚のことはわかっていない。学校全体でどんな実体かはわからない。タイムカードで実態を徐々に把握しているが。学校間でなぜこれだけの差が出るのか。国というより、自分の学校のガイドラインぐらいは自分達で出していかないと、他人事になる。そのうえで対策を考えていかないといけない。
●時久 惠子 委員(高知県香美市教育委員会教育長)
ガイドラインの上限は、数値的に示す必要がある。学校の自分事としていかないといけない。
全国で、学校まで行き届いた議論が必要だ。いろいろな通達などは降りていく中でだんだん認識が変わっている。
法的拘束力はしないほうがいい。保護者児童対応で時間がかかることがあり、時間で切ることができない場合もある。拘束ではなく自分達で制限をかけていかないといけない。
●東川 勝哉 委員(公益社団法人日本PTA全国協議会 会長)
資料3 で、運営体制の在り方を議論しながらガイドラインに盛り込んでいくとよい。学校教育目標のような形でもっていくと、保護者にも周知、理解が進む。タイムカード等で意識は高まりつつある。打刻したことにしておいて仕事をしていることもあるだろうから、その改善のためにも、在り方を盛り込むべきだ。
●善積 康子 委員(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員)
教員が自分の時間を使って頑張る実態に、そこも大切と思うが、子どものために使う時間も削減しようというメッセージを明確に盛り込むべきだ。教員は後ろめたく思うところがあるだろうけれども。30分削減するには、というのをよく研修で問うのだが、一つ一つ5分詰めれば可能だったりもする。データがあれば、こうすればこのぐらい削減できるというシミュレーションを入れると、実効性があるだろう。
ガイドラインの目標到達をいつごろまでにどれぐらい、という設定をした方がいい。
学校や地域によっていろいろ違うので全部投げたら受け止められない。
学校ごとのプランをある程度期間を見た中で、目標を置いてもいいと思う。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
(ここで、資料5-1から4までに関する議論に移行。最初に佐藤企画官の説明)
▼資料5-3 1~20ページ
●富士道 正尋 委員(前小金井市立南中学校 校長・全日本中学校長会 事務局主事)
忘れてはいけないことだが、日本型教育の良さを維持することと、教育の質を担保した改革だ。2つを支えるのは教師の専門性である。語彙・知識・概念が異なる子供たちに、発達段階に応じて学習意欲を高めるような授業をしている。個々対応のコミュニケーションを図る、これも専門性、必須要件だ。専門職として自己管理、自発的に工夫や努力が期待されている。それを踏まえながら議論していきたい。
●相原 康伸 委員(全日本労働組合総連合会 事務局長)
制度的措置を考えるうえで、本当の意味で学校の働き方の特殊性がどこにどのような形であるのか、吟味するべきだ。高いモティベーションで生徒に向き合う教員を見て、生徒がそれに影響されて次代を担うのが理想だ。一方、勤務対応の特殊性と整理した場合、一人一人の意識を転換し、特徴を踏まえた制度設計する必要がある。特殊性にこだわるのは意識変革や制度設定するうえで障害になるのではないか。長い間維持してきたモティベーションを否定することはしたくないが、重要な転換点だが、特徴を踏まえ、特徴に沿った制度転換がスタートラインではないか。
そのうえで、変形労働時間だが、安全衛生で様々な知見を共有したが、疲労や睡眠は一日でリフレッシュするものであり、年間ででこぼこをそろえるというのは考え方としてわかるが、年間を通じて疲労が取れるのか、夏にまとめて休みを取るのも難しい。働き方の現実を踏まえた対応が必要ではないか。
●風岡 治 委員(愛知教育大学教育支援専門職養成課程 准教授)
教師の業務の在り方に関しては、給特法制定経緯にもあったが、教育とは何か、教員の役割は、ということでこういう経緯になったことを踏まえつつ検討するべきだ。一般地方公務員に対するのと同じ制度設計がなじまないとは思っている。
勤務時間管理については、現状でも管理職責務だが、対策としては、勤務時間管理と多忙化解消を担保するマネジメントの仕組みを改めて考えていく必要がある。学校評価の中で、勤務時間や業務軽減をどう踏まえた設計ができているか、多くの所ではできていないだろう。学校ごとに取り組んだうえで管理する。しかし学校任せでは限定的にしか進められない。すると管理者で教委や人事委員会、首長にどういう役割を与えるか、どういう管理をしていくか、今回大きな課題になるだろう。法的観点も含めて明示できるか。
教師の業務量抑制については、子どもがいる学期中といない長期休業中では心理的な負担は大きく違うことがあると認識している。そうすると、変形労働時間の導入は考えうる。一方で勤務間インターバル、週当たりの変形労働時間の上限など、より細やかに設定して、4月5月の超過を夏休みで、のようにならないような制度設計が必要。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
川田委員にお聞きしたいが、変形労働時間を現場で導入するか否かは論点になるが、相原委員のいうように一日一日でリフレッシュであり、一年間で調整すべきでないのというのは原則かもしれないが、現実は業務改善をしても7時間45分の中で業務削減をすぐにできないのも事実だ。現実には超勤が出てくるのは続くという現状を踏まえての変形労働時間はいけないが、繁忙期と閑散期でメリハリをつけて業務量を全体で減らす前提で変形労働時間の導入はあってもいいと思う。
H29の就業条件調査の概要を見ると、民間を含め57.5%が変形労働時間を導入し、一年単位でも33.8%と想像以上に多い。教育や教育支援では39.9%と多い。労働者全体で見ても50.7%、一年単位でも20.9%と一定出てきているので、レアケースではないと思う。労働法の専門家の観点からどうか。
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
一般の労基法では短期間、一年間の変形労働時間は規定、導入されている。日本で一定程度見られるとは言える。公立学校で一年間変形労働時間をやるうえで留意点が二つある。
1) 民間では割増賃金が発生する。変形でもどの時間が対象がというのはあるが、時間外扱いは払われる。給特法を前提とすると割増賃金がない。それで歯止めをかける機能が果たされにくくなる。働き方の実態が全く変わらないと、変形でも全く変わらない。時間を短縮するための特別な留意が必要。
2) 民間の一年単位変形労働時間制でも、一日の労働時間はそんなに動かさない。8時間は維持して、忙しいと週休1日に、閑散期になると週休3日、のような使い方が一般的だ。教員についてだと、かなり違ったイメージになるのではないか。そのうえで、たとえば時間外労働についてガイドラインをつくってその範囲内、できるだけ正規以外が発生しないに近づけていくのか。ある程度現実的な目標として、このぐらいならがんばれば大丈夫というラインを正規の近くに置いて変形労働時間にするなら、検討に値する。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
不規則発言で申し訳ないが、私自身は変形労働時間の場合の上限はより厳しくなると理解する。月の上限45時間が変形労働時間の場合は月40時間に、年間だと360時間が320時間に、と一年単位の方が厳しくなる。今の教員の膨大な業務と長時間を減らすなら、厳しいルールを導入して業務と労働時間を減らす梃にするという考え方はあっていいと思う。川田委員の最後の部分はそういう理解でよいか。
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
今後の具体化次第だが、その通りである。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
1) 資料5-1 1ページ最初の、本来業務とは何かが人によって、実際差によってもぶれる。教師が専門性を発揮する業務とそれ以外は違うのか、専門性とは何か。中間まとめでいったん整理されていると思うが、中間まとめ以上に、最終答申になっていくうえではより踏み込まないといけない。資料2-1の4ページで、週60時間以上と未満で一日の平均的な使い方のデータがあるが、これは貴重で、何に忙しいのか見る必要がある。12時間30分の中で比重の高いものにメスを入れないといけない。すると授業、準備、成績、行事など教員の本来業務比重が多い。これを減らすのか、どこまで減らすのか議論が必要だ。一方、それ以外は本来業務ではないのか、給食掃除昼休みは本来の専門性ではないから本来業務ではないと言うのか。たとえば家庭指導も付随しているが、それは専門外です、なのか。採点はITにやってもらおう、部活も専門外ですよね、そういった本来業務外がどこなのか踏み込まないと※月45時間など達成できない。
2) 資料2-1 1ページだが、実際は8時15分の勤務開始時間より前に子供が来る。これでは授業準備が間に合わない。社会全体で登校時間を遅らせるのか、それとも7時半始業で子供をもっと早く帰すのかも議論が必要。
3) 資料5-1について、 給特法を廃止して時間外手当を出すのかは要議論だ。財源はどうするか、はともかく、(教職調整額に代わって時間外手当だと)効率よく業務を終える方が利益がない、それよりも一律で受ける方が合理性がある。しかし4%が低すぎるという声がある。
4) 年間変形労働時間を考えるにしても、夏休みに行く前の5月6月が持つのか。メンタルヘルスでどの時期がしんどいのかデータを出してほしい。しかも教員は病院になかなか行けない。補充の人員を入れ、授業を抜けられる制度がないと、4月5月がしんどいだろう。
5) 働き方改革が人材確保のためでもある。たとえば夏に2~3週間休める仕事となれば魅力だが、5月6月に倒れるなら魅力ないブラックということになる、このあたりも考えてほしい。
(※「週」の表記を「月」に修正いたしました。2018.9.30 教働コラムズ)
●佐古 秀一 委員(鳴門教育大学理事・副学長)
教員の勤務を外から一律管理するのは難しい。現状で子供の多様性に対応している。これまでの教員の献身的努力の、持続可能性が危うい。これまで日本の学校の質を支えてきた教員の頑張りをどう支援していくか、その点で、年間の変形労働時間はありうるが、授業平常時の働き方の問題は残る。平時にどれぐらいの時間にするのが可能なのか、
●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科 准教授)
(先に発言した、学校全体で時間が短い学校の)外形的要因は外れ地で、それを当てはめるのは無理だが、そこから分析しようという趣旨だ。かつて給特法ができたとき、専門性と労働者性のどちらを取るか、だった。当時は専門性を取った結果、個業化して、タイムマネジメントが効かなかった。専門性を押さえたうえでタイムマネジメントをどうするかの立案が必要だ。
超勤項目を増やすと管理する範囲が広がっていく。給特法成立前後の議論からすると、超勤項目を減らすという議論だった。全廃すると専門性の否定になる。4%は行政職との比較、管理職の割合がどうかということになる。中長期的な課題で考えるべき。4%と言われることで、教員のモティベーションを下げ、教員の被害者意識を高めていると思うが、他の職務との比較で丁寧に見ていく必要がある。
●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部 特任教授)
教育課程を維持することと、日本の教育の良さを維持することはつながっている。大切なのは、教育課程を分担する仕方だ。小学校は学級担任、中高は教科担任制だが、ここをもう一度検討する必要ではないか。TTや一部教科担任制を取り入れた時期はあったが、元に戻った、そういう意味ではかなり根深い組織ともいえる。しかし、その分担を見直す時期ではないか。(小学校なら)28コマを一人で見るのではなく、複数の教員で見ることも重要ではないか。日本の学校のよさのひとつが行事だが、そこの分担を議論されてもいいのではないか。これまでは部活動のありかたが多かったが、行事を検討することも大切ではないか。学校行事を引き出すと、学校の一年間の流れ、時間の集中と分散、多忙と閑散、とも合わせて整理できる。
●相原 康伸 委員(全日本労働組合総連合会 事務局長)
働き方改革は公私問わず日本が進めないといけない。学校の教員がこの流れから取り残されないか心配である。教員に生き生きしてほしいと願う。教員の高いモラル、意識が職場を支え、管理職と共同歩調をとってきたが、全体が進むので、他業種と比べて前に進んでいるならいいが、ビハインドだという状況を認識して進めないといけない。法的拘束や締め付けをしないとダメではないかというのが実感だ。
年間の労働時間が2000時間+800、1000という数字を聞くと、今回のチャンスを逃したらどうなるか、というのが皆さんの共通認識ではないか。
超勤4項目以外は廃止してカウントしていくのが基本、制度設計の軸ではないか。
変形の所を言わせてもらうと、民間は商機を逃さない、生産の調整によるなど変形労働時間導入の必要性がある。学校現場に入れる目的は何なのか。夏休みに休めるという魅力出しなのか、安全衛生を高めるのか。今の労働量でスライドは難しいが、業務量を減らす前提というなら、目的をどうするか。
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
資料5-1について
1) 教員の業務の在り方の2つめ 子供の実情に合わせて活動していくのが日本の教育のよい点で、長時間労働の歯止めと並んで大切。そういう時間を確保するのが目的になる。給特法の考え方が現代にも基本的には当てはまると考えてよい。その一方で自発性、創造性という言葉は見直すべき点があるのではないか。教員の働き方全体がそう取られる、実際にそうでないものもあるのに。自発性創造性と言うと自由にとられてしまうが、子どもとのかかわりは職務の一環ということが見えにくくなる。ともすると、自発的だから長時間労働で関係ない、と取られてしまいかねない。
2) 勤務時間管理の在り方について。給特法というのは一面では時間外勤務手当が払われないということで時間管理の必要をなくしているが、それを運用していく中での実際の扱いで、37条は適用除外であるが、あたかも労基法全体が関係ない、という認識になり、32条の扱いが見逃されてきたのではないか。給特法の中で明確な職務命令ということに重きが置かれ、それが実体と合わない、おかしな結果を導いている。しかし32条の必要性はあった。今回の法改正をきっかけに、あるべき姿に戻ることで徹底する必要がある。
3) ガイドラインの法的効力についてどうするか。行政法規の枠内で問題があった場合、別の機関が指導や命令をする。民事上の枠組みなら関係当事者に注意義務を喚起する資料になる。あるいは強行法規として扱うか。刑罰の話になると、労基法の実効性確保の上で重要。民間企業はそうなっている。一方で、ガイドラインで刑罰を伴うものを持たせない方がいいという考えもあるので、それも踏まえて議論した方がいいという考えがある。刑罰というと厳格性が求められ、柔軟性がとれない。ガイドラインを作る際に想定されるグレーゾーンのようなところに、厳格だとやりにくくなる。教員自身の考えによる働き方が重要であり、刑罰法規が伴うと、そこにまでコントロールが及ぶ可能性がある。あるいは罰則付きの法規は36条を前提にしているのに対して、33条に関するものであり、一般地方公務員の扱いも参考にする必要があるのではないか。33条3項には上限規制がないが、教員についても当てはまる面があるのではないか。将来的には一般の校務員も含めた上限規制と罰則規定になる可能性もあるが、現状では36条と33条3項の違いがあるのではないか。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
今回はここまでとする。今日の内容は事務局の方でさらに整理する
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本日9月27日に行われた 中央教育審議会初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会(第17回)傍聴の記録を公開いたしました。
— 教働コラムズ (@kyodo_columns) 2018年9月27日
変形労働時間制や給特法廃止の是非、ガイドラインの法的拘束などに言及した議論がなされました。
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