中央教育審議会初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会(第7回)
中教審 傍聴の記録
【中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会 委員】
50音順
相原 康伸 氏
日本労働組合総連合会副会長
全日本自動車産業労働組合総連合会会長
青木 栄一 氏
東北大学大学院教育学研究科准教授
天笠 茂 氏
千葉大学教育学部教授
小川 正人 氏 ★部会長
放送大学教養学部教授
風岡 治 氏
豊橋市教育委員会教育政策課事務指導主事
川田 琢之 氏
筑波大学ビジネスサイエンス系教授
清原 慶子 氏(欠席?)
東京都三鷹市長
佐古 秀一 氏
鳴門教育大学理事・副学長
妹尾 昌俊 氏
学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー
田野口 則子 氏
横須賀市立野比小学校長
時久 惠子 氏
高知県香美市教育委員会教育長
橋本 幸三 氏
京都府教育委員会教育長
東川 勝哉 氏
公益社団法人日本PTA全国協議会会長
冨士道 正尋 氏
小金井市立南中学校校長
無藤 隆 氏 ★部会長代理(欠席?)
白梅学園大学大学院特任教授
善積 康子 氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員
※ 以下の記録は各委員の発言要旨を記載したものです。発言内容すべてを網羅できているものではない点をご了承願います。
中教審 傍聴の記録
配布資料
資料1-1 学校に置かれる委員会等の組織・担当者について
資料1-2 学校の組織図(例)
資料1-3 学校に置かれる委員会等の組織(一覧)
資料1-4 学校に置かれる担当者(一覧)
資料2 これまで議論した役割分担・適正化を着実に実施していくための方策について
資料3 学校における働き方改革特別部会発表資料 教員勤務実態調査(平成28年度)『教員のストレス状況に関する分析において』(筑波大学笹原准教授提出資料)
資料4 勤務時間管理の現状と在り方について
資料5-1 公立学校の教育公務員の勤務時間等について
資料5-2 働き方改革実行計画(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定)【抄】
参考資料1 学校における働き方改革特別部会 委員(名簿)
参考資料2 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(概要)
参考資料3 経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~(平成29年6月9日閣議決定)【抄】
参考資料4 業務時間別の勤務時間(平成18年度との比較)
参考資料5 妹尾委員提出資料
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議題
(1)業務の役割分担・適正化に関する具体的な論点について
(2)勤務時間及びその管理の在り方について
(3)その他
ここから本議題
事務局より、資料の説明
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部教授)
今回 考えられる対応策について、より具体的な意見を欲しい。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
組織について2点ほど。インテグレート、アップグレード、両方必要である。OSが昭和のままではフリーズする。学習指導要領が新しくなっても、組織が古いままではいけない。
役割分担や分業の話は出るが、企業行政と違って、補佐、スタッフ機能が弱く、個々の教員の負担になっている。具体的には 教員のサポートに 経理担当、営業担当、人材育成担当、これら全て若干事務職員と分担しているが、多くは教員が担っているのが特徴。教委のサポートをできる所はして、ただし教委も人手不足なので、お互いで業務を照らしながら必要なところに負担の配分を考えながら、事務職員の加配などスタッフの拡充を考えたい。
●富士道 正尋 委員(小金井市立南中学校校長)
対応策が4つあるが、2つ話をしたい。3つめの事務職員の活用等 国も学校事務の共同実施を進めていると聞いている。東京など、開始している自治体もある。学校ごとの事務職員を一か所に集中しながら業務改善できないか、共同実施を推進していくべき。
もう一点は優良事例を収集して周知徹底といっても、ペーパーだけでは終わってしまう。本気で変革するぞ、という姿勢を見せるためには、都道府県単位で管理職向けの説明会をしながら具体的な話をしないといけない。ペーパーでさっと見て終わりは避けたい。
●風岡 治 委員(豊橋市教育委員会教育政策課事務指導主事)
2つあって、考えられる対応策の2つ目だが、包括的なグループに分けることを進めるべきではないかということだが、校務分掌でいくつかに分けている例が多いと思うが、誰を責任者にするかが各学校が横並びということがあるから、責任者にどこまで権限がついているのかということが課題と認識している。そうしたことを考えると主幹教員の配置を進める必要はある。また現在、学年というグループ、での活動が近いところで、日常的な業務の確認をしながらできるグループ。そうした中で主任の在り方について考えていく必要がある。主任機能が機能している所と、単なる分掌のひとつとしているところをどのような違いがあるか比べてみる必要がある。
それから事務職員等の活用ということで、共同実施の仕組みについては全国に様々な取り組みの例がある。都のように一か所に集めて、空いたところに非常勤の職員を配置するところもある。一方で、愛知では各校に確実に各校に事務職員を配置しつつ共同処理というグループ制をとっている県もある。法改正の趣旨からすると、各学校で1人配置したうえで、何ができるか検討していく必要がある。共同学校事務室の事務職員の体制の整備と、教委との連携、先進事例も参考にしながら検討していく必要がある。
●佐古 秀一 委員(鳴門教育大学理事・副学長)
校務分掌については、学校においては、いかに効率的に行うか。あまりにも細分化されていて、協働ではなく個々の分担になっている。だから仕事をグループ化する。その管理は職制をおいて遂行する。主幹をそういう役割に明示し、人数も増やす。そして校務の効率化をする。議論だけでは変わらない。教委が主幹の役割を明確にし、いかに使うかをかなり強い指導をしないといけない。
●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部教授)
現場の声に耳を傾けてほしい。現場の立場からすると、何をいまさら、もうやってきていることなのか、それとも目からうろこのメッセージとして有効性を持ちうるかということ。この場合、有効性を持ちうるかという観点ではまだまだだ。方や、言われることはわかっても、現場では思考停止に近い状態になっていて、対応に動きが出て来ない状態になっていることも考えられるのではないか。ならば現場の自主的自立的、自ら改善を図っていこうという姿勢を復活するような、働きかけ、環境整備をするならば、何ができるかが支援という言葉に含まれているのではないか。どういう支援があるか、さらに詰めていく必要があるのではないか。そのうえで対応策を考え出す必要がある。
もう一つ、現場の状況に対する認識が重要。たとえば方向性として包括的なグループで対応することも必要だが、膨大な事務を教員が個々で対応する状況になっていて、グループ化、相互連携が弱くなってないか。歴代、学年経営で維持して動かしてきたが、現状、小規模化で学年経営が基本的に成り立たなくなっているというなら、それにどう対応しているか。あるいは学年会議がいろいろな事情でこれまで週1から月2度とか、開いても従来よりも機能低下になっていないか。主任制以来、いろいろな経過はあるが、学校の中核となるミドルが存在しているか、存在しているが機能していないのか、そこを丁寧に見ていく。学年会議、あるいはミドルが機能を果たすという、当たり前を学校に復活させるのも一つの対応策ではないか。
●時久 惠子 委員(高知県香美市教育委員会教育長)
学校で何が忙しいか。あたらしいことが次々あって、どう対応するか、だが基本的に忙しい。教委から話をしていると、教員がすることが1+1+1+…で増えていく。国語を教える、社会を教える、そこにキャリア教育、英語、新しい学習指導要領、のように。ひとつ言われるごとに大きな負担感。どうしようかと対応するために委員会を作るなどして、ばらばらに対応すると大変忙しいし効果が薄くなる。なぜなら、学校として何をして子供をどういう方向に育てるかが一番大事であって。そのことに対してピラミッドになるべきなのに、焦るほど一つずつにとらわれ、忙しく、効果が出ない。
ふたつめに、包括的なグループにしていかないとばらばらの対策になって、各委員会からこれをこれをというと大変なことになる。主幹教諭とあるが、管理職以外に統括する人がいて、こうしていく、こういう方向で行くという人が統括していないといけない。一番いいのが主幹。管理職と連携しながら校内の仕事をまとめ、方向性を一つにまとめ、負担感の軽減にもつながる。
●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科准教授)
管理職の能力が違い、学校の課題に差がある。マネジメントのありように差がある。いい意味の差、優良事例もあるはずなので、それを掘り起こして、それを周知をする。また、少子高齢化の中とはいえ、統廃合が進み、それほど小規模ではない。ひとつの自治体で1小1中というのが増え、そこではあらゆる要請や課題が集中して多忙化する。いずれにせよ、規模の差による忙しさ解消を考える時期ではないか。実効性のある取り組みについては、管理規則レベルに応じて、規模の違いに応じたモデル案を出した方がいい。その背景には、校長のマネジメント能力にこれだけ差がある。タイムマネジメントのできる校長がたくさんいればこうなってない可能性が高いので、モデル案を示すべき。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
気になる話が、財政制度等委員会に関する資料。21ページを参照。地方交付税措置はされているのに、市町村の事務職員配置が非常に少ない。算定上の数字より9分の1ぐらいしかいない。言いたいことは、財政当審議会は国としては手当てしているのだから、市町村はちゃんと自分たちで動きなさいということかと思っている。いずれにせよ、市町村で交付税などの財源を使いながら、どうやっていくか考えないといけない。
その際に言えるのは、浜松市だと、給与のことなど事務の一部は、一部の学校で集中処理を、政令指定都市化に伴って、4月からしている。効果や課題を検証しながらだが、給与、旅費など、誰がやっても同じものは、一括集中しないと。効率化できるところはする、プラスアルファのメリハリの発想を各市町村でつけないといけない。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部教授)
学校における組織の在り方はまだ議論するとして、ここまでの中間報告にまとめるのは工夫していただくとして、引き続き議論するとして、本日はここまで。
続いて、役割分担や業務適正化の実効性のためにどのような方策が必要か。
資料2に基づいて
事務局佐藤から 説明
提案内容について説明。追記。
●橋本 幸三 委員(京都府教育委員会教育長)
役割分担のポイント。地域保護者の理解を得るのが大切。保護者がやればいいと学校から言い出すのは現実的に難しい。教委が後ろ楯になって、見直しの内容について保護者に丁寧に説明してほしい。一部市町村教委からは、ばらばらだと困るので府でまとめてほしいという声もある。我々は国のガイドラインをまとめるくれると、それをもとに改善できるので、部活なども、示していただけると有難い。参考までに、京都府ではPTAの校内組織、教委と地域家庭で相互に連携協力し、教員の働き方改革を応援するという緊急アピールを、PTAの研究大会で会長から言っていただいた。今月も意見交換をしたい。
●富士道 正尋 委員(小金井市立南中学校校長)
教職員の研修の実施。初任者、10年目などの研修はあるが、役割分担を含め、働き方の研修はなかった。初任者の中から意識改革を訴えるような研修の中身をしていく。管理職の研修でも見直し、早く帰るのは悪ではないという意識を変えていくことの打ち出しが必要。経営方針も学力向上や豊かな心うんぬんだけでなく本校としてこういう改善をしていくと明確に、校長が示していく。地域や保護者に伝わるものであり、経営方針に入れていく。そういうのをやっていくことで変わっていく。
実効性の担保だが、その後どうなったかの検証がなかなかなされていないことが多い。どう変わったのか、変わってないのか、変わってないならどういう形で政策がおりていくのか。ペーパーを出した、通知を出したで終わりでは解決にならない。そういう認識を持たないといけない。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
実効性を高めるには校長の力、それを支援する教委の役割が重要。具体的な話としてひとつ、どうやって校長のマネジメント能力を上げていくかというと、四つぐらいに分けて考えてみたい。登用、育成、評価、出口。登用の部分で、業務改善とか働き方改革とか労務管理とかできる人を登用していくかどうか問われないといけない。育成と言っても校長になってからでは遅いのではという意見もあろうが、研修などをしていくことになる。評価、出口に関わることにもなるが、校長は60歳で定年になったあと、出口、再就職先どうするにかかわる話。たとえば、教委に対して無難な態度をしている人が得をするような部分を改革する。つまり、学校改善とか部活動の改革とか、多少ハレーションを生むかもしれないが、今は波風を立てない人が得をする、そういう実態になっていないか考えてほしい。ある程度熱心な人を入れて、出口も含めて考えていかないといけない。
そこにも関係して、教委の役割は重要。企業でいうとエリアマネージャー。各店舗の底上げをされているのは、エリアマネジャーのようなアドバイスする人がいるから。教委には指導主事がいるが、校長のマネジメントや人材育成は大きな市でないと難しい。そういう人材をどうするか。教委内部か外部か。第三者評価の反省と成果をどう踏まえるか。とはいえそこまでの専門家も多くはいないし予算も限りがあるので、教委の機能拡充やありかたを議論したい。
●田野口 則子 委員(横須賀市立野比小学校長)
責任の所在について。小学校なら児童の安全を守るため、様々な活動をしている。休み時間、給食清掃、放課後、見守りなど、学校や教員がかかわって見守っている。安全配慮義務がどこまでの範囲なのか。その責任の所在を明らかにして、「先生方大丈夫だよ」と
校長も頑張らないと、その通り。職員を守るために、経営方針を明らかにし地域やPTAにきちんと伝えておかないといけない。
教委の、所管する学校に対する業務改善方針の策定というところで、都道府県では14.9%とあるが、市区町村で92.4%はやっていない。教委も各地区になっていくとなかなか策定に手がつかない。学校を直接支援するのが市区町村教委、そこが後押ししてくれることで、校長は自信を持って学校運営ができる。市区町村教委が策定できるように進めていってほしい。
●佐古 秀一 委員(鳴門教育大学理事・副学長)
長年における環境を変えるとなると、学校の文化を変えないと解決にならない。最終的には学校自らが評価を地域に任せようとなれば可能性が出てくるが、すぐにはいかない。学校が自分達でどうするか考えるようにしないといけない。そのため一つには明確に働く時間をガイドラインで示し、これ以上はダメだとして学校自身に考えてもらう。その点では、地域の実情に合わせ、ガイドラインを教委が考える。もうひとつ、学校には業務改善のリソースがない。だから特別指導員やカウンセラーのようなスペシャリストを確保、アシスタントなどを配置するなど環境を変える。量的なガイドラインと人的リソースを示したうえで、教員の意識改革を、学校に改善を求めるべき。これまでは校長は教育指導面の管理だったが、教員のタスク管理、時間管理のマネジメントが重要と認識してもらう。校長研修で伝え、持ち帰って校内研修で教員に伝える。都道府県レベルの研修と学校の研修を連動するように、教委がチェックする体制、環境づくり、意識改革を進める。
●風岡 治 委員(豊橋市教育委員会教育政策課事務指導主事)
校長について。労務管理の視点を校長の評価に入れるべき。学校評価を改めてどう考えるのか。それを業務改善のひとつの指針としてはどうか。学校自らが考えていくような、自主的自立的な学校のあり方、学校の自己評価について、その中で、業務改善、労務管理の視点を入れていくことで、学校内での評価改善につなげていけるのではないか。また、自己評価を受けての関係者評価になるので、この時点でコミュニティスクールを通して、地域の方々と学校の課題共有する。その中でどう共有できるのかも、関係者評価として考えていく。第三者委員の評価も課題である。そのあり方について、改めて考えていくことも国に求められている。
●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部教授)
研修について。現在、校内研修、外では都道府県教委研修があり、昨今は更新講習がある。ひとつひとつに意味があると思うが、様々な指摘をされているように、限られた時間を縫うように確保しながらやっている。だから実効性や機能が得られているかを検証しないといけない。時間の分散によって、意図狙いがよくても、時間の点で課題が生じてしまう。分散した時間をまとめる、内外の研修を一定の時間に集約、確保する。そういった考えで研修システムの在り方をもう一度見直すのも一つ。その中で教職大学院の位置づけが現在は一部の限られた人達を対象にしたものだが、校内研修改善の観点で、その一環で、運用の在り方で抜本的に考え直す。研修時間の確保を観点を変えながらというアイディアで検討してもいいと思う。
●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科准教授)
教委がなかなか動かない可能性がある内容なので、文科省に担ってもらう可能性がある。既存の政策手段の活用というスタンスで話す。学校評価について。第三者評価を国でやったらどうか。かつて教育活動に特化していた第三者評価があったが、今回は業務改善の第三者評価を。指導主事が回っても、そういう視点がない。教委には事務の点検評価があるので、そこに盛り込むといい。研修に関して。緊急の対策は採用10年以内の人を中心に2~3年の間に徹底研修するといい。人事委員会によっては教員の過重な労働の実態に言及しているところもあるので、そこに期待してもいい。ただし、教委など、行政委員会同士がとう連携するかをについて文科省で研究してほしい。人事委員会が教員の働き方改革にどう役割を果たしていき、教委がどう後押しできるか、検討の余地がある。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部教授)
中間とりまとめに向け、引き続き議論していきたい。
次の議題 勤務時間や考え方
教員のストレス状況について報告がまとまってきたので、担当の筑波大学笹原教授より説明を。
(筑波大学 笹原 准 教授より資料3に沿い、説明)
調査研究を受けて提言:教員のメンタルヘルスは他職と比較して、不良であることは明らかだ。何らかの対策が必要ではないか。これに関し勤務時間が関連しているというデータから、勤務時間の削減ということが何らかの形で必要ではないか。また部活動に着目すると、専門性が重要ではないか。専門性を発揮できる場面でストレスを感じにくいが、発揮できない場面で強いストレスを受ける傾向が考えられる。専門性を補うことで改善できるの可能性が示唆された。
【質疑応答】
妹尾 委員:講師のストレス、養護教諭も小学校では特にストレスが多い。不眠が多いのは心配と感じた。質問だが、K6得点はこれを超えると黄色信号、赤信号のような目安はあるか。
笹原 氏:K6は5点以上で高ストレス状態。平均5を超えるの集団は半数以上が何らかのストレスを抱えていると見られる、かなりの高ストレスだ。
妹尾 委員:高いところは7点を超えているが、これはよほどひどい?
笹原 氏:1点の差がどのぐらい、たとえばどこからが病院に、とは言いにくく、5点越えがひとくくり。ただ単純に考えて、点数が高ければより悪い。
善積 委員:K6、裁量度はどういった質問、表現のものを用いて回答を得たか?
笹原 氏:K6は過去30日を対象期間にして
①神経過敏に感じましたか?を5段階で回答(全くない<少しだけ<時々<たいてい<いつも ) 以下同じく5段階で
②絶望的だと感じたか?
③そわそわ落ち着かなく感じたか?
④気分が落ち込んで何が起きても気が晴れないと感じたか?
⑤何をするのも骨折りと感じたか?
⑥自分が価値のない人間と感じたか?
裁量権 自分の仕事について現在の状況に最も当てはまるものを選ぶ。
4段階(そうである < まあそうである < 少しそうである < 全くそうでない)で回答。
①自分の仕事に自分の意見を反映することができる
②仕事の進め方を自分で決めることができる
③仕事のペースを自分で決めることができる
佐古 委員:20代の教諭のメンタルヘルス問題が顕著というのは、業務に不慣れ、適応しきれていないからではないか? 30~40代で低下するのか、それとも継続傾向なのか?
笹原 氏:今後の変化は推測でしかない。一般的にk6とSOCは逆の関係になる。経験を積むとストレス耐性がついてくる。だから年齢が高いとそうなる。伴って、同じ勤務時間、状況でも年代が上がればメンタルヘルスがよくなる? 今の20代は10年後にいまの30代と同じようになると推測できる。
勤務時間と管理の仕方について
事務局佐藤参事官から資料説明
小川部会長からの指名
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系教授)
労働法観点からの問題は多岐にわたると思うが、三点にわける。
一点目は これまでの議論との関係。平成19と20年に、資料5にまとめられたような検討をしたが、その時は教員の給与のあり方がメインで、関連して働き方、組織運営の検討がなされた。その時も自分は働き方が根本的な問題と発言したが、今回はまさに働き方の問題になった。検討すべき論点は基本的なものが示されている。14ページの平成20年議論のまとめでは、現在の給特法のありかた、見直しの話になって、割増賃金や時間外手当も視野に入れた。根本的な所で、どのような制度にしても、残業時間の縮減がどの制度であれ重要であると指摘するとか。あるいは教員の自発性創造性をどうするかが重要。個別のこととして管理職の負担や部活、持ち帰り残業など。細かい問題として17ページの1年変動労働時間のこと。これらは今回の論点としても有効である。
二点目、私見だが現行法の問題が二つ。一つは現在の給特法が教員の残業規制、勤務時間管理をおろそかにしている。教員の勤務の自発性創造性が強調が過度にされていること。一方で、教員の時間外勤務に関して命令の有無に重きを過度に置いている制度である。それが結びついたことの問題があるのではないか。職務性の高いものについては、明確な勤務命令がないから労働時間ではないといえないが、給特法制定の当時はそうではなかったと考えられ、教員の自発性創造性とつながってしまっている。そういう点で問題である。勤務命令の有無ではなく、実体として教員への拘束があるか、あればその点をとらえるべき。もう一つ、労基法58条5項で、労働に関する監督機関が人事委員会や公平委員会になっているが、労働時間の実効性管理をだれがどうやるのか。現行制度を前提とするなら、労働基準監督行政の視点や経験をいかす方法を考えることが課題。制度の方向性は大きな所では、給特法、あるいは時間外手当という選択肢。それぞれ長所短所がある。いずれにせよ、この問題は労働法における労働時間規制のうち、長さを規制、一定の長さを超えたらどうした払い方をするのか。後者がどうであれ、前者の長さに規制をどうかけるかが重要。
三点目。働き方の中に専門性、裁量性があることが必要。一般的な労働法だと出てきにくい話。そういう専門性、裁量性がある時間をどう位置付けるか、それが教員特有の働き方にとって重要。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部教授)
今日は意見を出してもらいながら論点整理、意見整理を。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
私が用意した参考資料5を参照で。きちんと休日を取れていない、教員が多いと推測される。部活に携わっていて、月1回以上休めているのは6割ぐらいではないか。労基法の4週4休がどこふく風で守られていない。大きな問題だ。次の資料、横浜市のもので、同市だけの問題ではないが、小学校の5割、中学の7割の教職員が全く休憩時間がないと回答。小学校1割、中学5割の教員が、月5日以上休日出勤している、つまり4休取れていないということ。中学教員の約2割が、月8日以上休日出勤で全然休めていない、調査から4年経って多少変わっているかもしれないが、深刻な状況である。
次の資料。平成19年度において中教審で検討されたということだが、それから今まで何をしていたのか。正直、文科省と教委に若干腹が立っている。
三点にまとめたが、一点目は日本中の学校で労基法違反が半ば当たり前となっていることは、我々としてはしっかり認識しないといけない。労働時間の未把握、勤務時間中の休憩のなさ、4週4休違反という3点、1点でも違反ならアウトだが、3点でもアウトだということをしっかりやっていただきたい。教育者が法令順守をしないでいいわけは当然ないので、私は危機感を持っている。また、歯止めをかける所がどうなっているのかというのが、これは議論をなされるべきところだ。三点目、そもそも法令順守の意識の低さも問題だが、インセンティブのなさも問題だ。残業代も出ないし、労務管理が校長や教委の評価に影響しない所もおそらく多い。労基署は公立学校には入ってこない。こういった部分もよく考えて、問題に取り組んでいかないといけない。
4ページ目。質問要点をまとめている。次回以降でよいから、わかる範囲で教えていただきたい。特に二点目三点目は、先ほど人事委員会が機能している例もあるというよい話もあった一方で、他の所では本当に議論しているのかどうか。今日も、現職の教員が記者会見までして、現教審ということで、そのうちの提案の一つが、違法な労働実態を取り締まる専門機関を設置してくださいという話があった。この現状認識については、いいか悪いかのアイディアがあっていいと思うが、わざわざ記者会見までして訴えないと、つまり校長や教委に訴えたところで、事態は変わらなかったという裏返しでもある。あくまで一部の例かもしれないが、非常に多くの学校でこういったことで苦しんでいる教員もいるし、声も上げられないというほうが大多数なので、教員が安心して通報できる仕組み、しっかり歯止めをかけられるような制度的な枠組みを考えないといけない。
もう一点だけ。最近読んでいる本で、熊谷徹さんの「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」というもの。ドイツでは10時間を超える労働は法律違反ということで、最高で1万5千ユーロ≒180万円の罰金をと管理職がポケットマネーで出さないといけないと書いてある。それで労働時間が守られている。日本は今は罰則も、調査をするスタッフもない。非常に大きな問題であり、労務管理はしっかり考えていきたい。
●相原 康伸 委員(日本労働組合総連合会副会長、全日本自動車産業労働組合総連合会会長
二つほど。一つは、1971年に制定された歴史ある給特法がそれなりに学校に定着し、働き方の前提になっている。改正のポイントが複数ありながら今まで来ている。二つは、大変恐縮であるが、学校職場の持続可能性は極めて低いのは冷厳な事実として認めざるを得ない。努力があるのは承知しているが、相当な覚悟をもって対応しないといけない。過去の経営観についての説明があったが、過去のことではなく、今回あるのは、一つは時間外、業務量のボリュームにいかに制約をかけるか。これが部会の包括的な課題だ。もう一つは、政府全体として働き方改革が教職員のみならず日本の将来において非常に重要。その中にこの部会が位置付けられている。働き方の労働時間などについては上限規制を頭に入れて議論する必要がある。給特法(改定については)テーブルに載っているという事務局答弁があり、今日資料が出てきたので前向きととらえている。最後もう一点、質の面では、給特法は納得感の低さ、インセンティブ感の低さが大変問題になっている。4%を調整してどうのではなく、最前線の現場の努力が報われるようにしないと、最終的には学びの質に影響してくると危機感を持っている。今後給特法を考えるとすると、専門家の支援が必要ではないか、と付け加えておきたい。
●田野口 則子 委員(横須賀市立野比小学校長)
小学校現場の実態。10月31日・11月1日、1泊2日で修学旅行に行ってきた。一日目は11時間45分、二日目は9時間45分の勤務割り振りになっている。すると3時間45分と5時間45分の割り振りで、4週間内で振替措置をとらないといけないことになっている。しかし今回は普通の授業期間の修学旅行なので、それを取りにくい。特に学級担任は6時間目まで授業がある。午後に級外の教員に依頼したとしても、3時間45分をとるのはとても難しい状況。校長としてもどうやって対応するか、修学旅行付き添い担当と頭を使ってやりくりしてどうにか考えているが、現行ではとても難しい。現場では現状ではとても厳しいと伝えておきたい。
●橋本 幸三 委員(京都府教育委員会教育長)
時間外手当か、教職調整額変更か、一長一短がある。教員の業務は、授業準備や研究によっても、自発的な研究的要素があって、時間外はどうかなと思うが、先ほどの川田委員のから教員の拘束性でという話もあった。そうなると必ずしも命令が下ってというのとは違ってくる。次に拘束性をどう議論するか。残っているイコール時間ではない、その辺を明確にしないと、ただちに時間外に切り替えて管理職が運用するのはかなり難しい。それから、時間外手当を導入して教員の時間意識向上をさせるとして、仮にそうして、小中の服務監督は教委、実際には校長に下ろされる。しかし一方で給与は都道府県教委が負担するという二本立て制度になっている。市町村の側からすれば、自分の財布が痛まないということなので、不払いが許されないので、都道府県の負担が増えるので、こういうやり方をした場合財政の抑制意識が学校で働くのか、疑問はある。いずれにせよ、教職調整額制度前提にしても、勤務時間管理をしっかりやる、そのうえで管理職が適切なマネジメントする、役割分担、職員体制をしっかりと充実させていくことで、今の長時間勤務を大幅にまずは改善していく。教職調整額の割合と実態の乖離が大きい。放置できない問題なので、ボリュームをおさえ、乖離をどうするかという方法から検討する議論もありだろう。
●橋本 幸三 委員(京都府教育委員会教育長)
京都だと、人事院勧告の後に報告がある。そこで教員勤務の実態についていろいろ出て、特に勤務時間の把握という話では教委としても何とかしないと思いで、今月からカードシステムによる勤務管理を導入する。人事院から教委に対して意見交換しようということで実施し、少し実効性が出たのではないか。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部教授)
他になければ、委員から触れられていない点について補足する。
給特法の見直しも1月以降検討することになると思うが、仮に調整額を残す場合、今のものを継続するのはいろんな点で問題があるというのが私の基本的な立場。教職調整額の性格をどう評価するか、研究手当の意味合い、時間外の意味合い、複合的なものという意見、一般的にも見られている。両社が複合的で入っていることで、本来の時間外手当すなわち割増賃金の意図が薄められているのが今の教職調整がの一番の問題。割増賃金は時間外勤務にブレーキをかけることが基本的性格。それが教員の自主的自発的な、創造的な、専門性を尊重して、などと内外と包括するという文言で、それが薄められているのが問題。おそらく教職調整額を残すのであれば現状踏襲ではなく、時間外手当を勤務抑制の性格を含みこんだ見直しの作業になると思う。
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現職審記者会見と同日に行われた「中央教育審議会初等中等教育分科会 第7回 学校における働き方改革特別部会」傍聴の記録を公開いたしました。審議会資料もダウンロードできます。 https://t.co/gIF147L5Dr
— 教働コラムズ (@kyodo_columns) 2017年11月8日
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