参加者 10名
(急な部活動引率および校務のため欠席 2名)
取材:NHK大阪放送局
【放送予定】
9/22(金)19:30〜20:00
放送エリア:大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀
▼ 実態報告をした6名のご紹介
公立高校教諭(50代)
昭和から教師をしている
部活動制度に対する疑問は、初任の頃から感じていた。
新任の時、自分の研究範囲が教科書に3行もない状態からで、授業準備が本当に間に合わない。このような状態で、休みも出なければいけない部活というものの意味が分からなかった。
未経験顧問なのに、試合で他校の学校の生徒が「アドバイスお願いします!」とやってくる。
競技経験のある部活の顧問を熱心にやり、自分が初めて夏合宿をやった。後の人に申し訳ないと、今になって思う。
部活には疑問を持っていたがこれまで何もしてこなかったことを猛省している。
公立中学校教諭(20代)
卒論で、部活指導は教員の仕事なのかという内容の論文を執筆した。
担当部活では前主顧問のスケジュールを完全にシフトチェンジ、平日1日のオフに加え、土日どちらか必ず休み、週5の部活動を実践している。
にもかかわらず部活が楽しくなっている自分がいて、不思議な心理状態。
公立高校教諭(30代)
教員8年目
二つの部活の副顧問
未就学児育児中
母校の高校は自分が学生の頃は18時完全下校だったのが、19時になっていた。伸びてる!
勤務校では、初任や担任・若い先生が超勤が多いので、管理職が何とかしようと提案した。
しかし全員が明らかに超勤している現状で、仕事を割り振るのは難しい。
まだ乳飲み子の手がかかる。来年以降は、主顧問になって活動時間を縮小するか、副顧問として息をひそめるか、顧問を持たないかという方向で考えている。
公立中学校教諭
新たに顧問になった3人が皆部活動をあまりやりたくない。
土日の練習をほぼなくした。生徒が部活熱心でないので、助かっていると思ってしまう。
保護者から「もっと練習を増やしてほしい」「休日も出勤しろ」と言われたことがあった。
数人の部員は、クラブチームに所属している。そういう部員は、学校に何も求めてこない。これでいいと思う。
生徒指導にかなりの時間を割くことがあり、部活に行かずとも80時間越えている状況。
基本的に休み時間は廊下に立っている、テストの時は見回り必須、お昼は食べられないこともある。
若手が多く、分掌の負担が偏っているので、帰宅時間がどんどん遅くなる。
出退勤管理の記録を見ると「退勤時間25時」「平日1日の時間外勤務が8H」という時もある。
公立中学校教諭(20代)
勤務2年目
野球部顧問
新生児育児中
今年第一子が産まれたばかり。家庭をほったらかしの教員や、独身実家暮らしの教員とは、働き方に対する考え方が合わないと感じる。
校庭メンテナンスの仕事が17:30からに設定された。部活動が終わってから作業をするため。この場合部活動をせずに勤務時間内にやるべきではないか。
休憩時間の分割付与が確保されない、生徒の登下校が勤務時間外に設定されている、PTA懇親会や行事打ち上げを「仕事だから」と言って強制参加させる、などの問題意識を共有する仲間が欲しい。
レッドシール・ホワイトシール運動を推進していて、職場でひとり賛同者を得た。
最初は近畿の20代若手教員で結束したい。
公立中学校教諭(40代)
子育て中
終電で帰る日も多く、新任の時から働き方に疑問を持っていた。
仕事が多かったが、自分でわからずに仕事を増やしていた面もある。
新任の時から労働についてもっと知識があったら、働き方が違っていたかもしれない。
未経験の部活や、経験競技の審判など、部活が本当に大変だった。
担任、部活以外に校務分掌もいろいろ、分担の偏りもあった。
信頼する校長から「3年担任だから妊娠は困る」と言われ、とても悲しかった。
現在、育児と働き方に強い関心がある。
今年は野球部副顧問だが、自分は育児中なので管理職に一切出れないと交渉した。
授業準備や成績処理、さらに校務分掌を勤務時間内に終わらせ、我が子を迎えに行くとなると、部活業務をする時間はないので。
できれば名前を消してほしいが全員顧問制だから難しいと言われ副顧問になっている。
昨年も副顧問で、主顧問が部活に出られないときに練習をみたり、試合の引率したりしたが、どうしても授業準備など本来の業務にしわ寄せがくる。「見てるだけで良い」と言われても熱中症などのリスクはとても怖い。
部活の顧問も、育児中だから「仕方ない」と思ってもらえるが、育児など関係なく配慮される職場になってほしい。
議事内容
※ 本記録が議事の全てではございません。
【中教審と学校の働き方改革について】
・道徳も総合的な学習の時間も専門の先生が欲しいし、小学校の英語にも専門の先生が必要。
・担任としての専門性と教科の専門性。理想はこの二つを分けること。そこに福祉の専門性も。
・月8時間残業の頃、教員は余裕があった。余裕があったから部活をやることができた。
・教員自身の権利意識の低さ、知らなさ。有能で、若い、仕事熱心な先生、授業も工夫していてとても素晴らしいと思う先生が、権利意識が低い。
・定時意識がない。
・なぜ教員は労基署の管轄外?
・厚労省に働きかけ、法改正を求める活動を支援したい。
・中教審でもっともっと根幹の議論、給特法の議論、法改正についての議論をしてほしい。
・まだまだ解禁されていない情報がある。
・教員の職務、教育とは何をする仕事か?学習指導要領改訂くらいの勢いで大改革しないと、学校の働き方改革は成立し難いのではないか。
・働き方改革で人を増やそう、財源がないからそれは無理、それならば引き算しかない。
>引き算というかむしろゼロベースから組み立てる、くらいの視点。
・教員は授業に責任を持つ。自分たちにかけられている税金はより良い授業の質のために。給食も掃除も休み時間も教員がやらなくてもよい仕事なのでは。
>給食時に生徒の状況が見えてくることが多い。忘れ物が多い子、食欲がない子、など。担任としての専門性は必要になってくる。
・とりあえず、授業と授業準備以外がない状態から、必要なものを考えていかないといけない。
・部活は地域クラブに移行して、教師でやりたい人はそっちに行けばいいのでは。手当もそこから出してもらって、それで私たちの部活動手当がなくなったからって誰が文句を言う?
・日本は留年させないシステム。学年分の理解がないのに進級する、進級するたびにそのツケを払わないといけない。できなかったら再チャレンジできるシステム作り。
・校務分掌の偏り。雪かきをする教員、雪かきを管理職にお願いされた教員。2者の意見を聞いた。総合すると、雪かきをする教員の負担軽減のために、管理職がほかの教員に雪かきをするよう命じることはできない、となる。
>やらないという選択肢は?
>やらなければ生徒の通学路どころか、出勤の先生方が車を停められない、送迎の車が通れない。
>本当は管理職がやらないといけない。管理職は時間外も何もないから。
>かといって管理職が過労死ラインを越えて働いてはいけない。
・うちの管理職は定時退勤。
>うちの教頭は暇そうにしている
>うちは教頭が一番忙しくしている。
>他校の教頭先生だが、多忙にしていてついに仕事中に倒れてしまった。
>管理職になりたいとは思わない。
>あなたたちはみんな管理職にならないといけないと思う、人が足りないから。
>大阪府は指導主事不足で、週三日学校勤務、残りを指導主事としての活動に充てるような働き方がある。教委、管理職のなり手不足。
>そうなったときに、どう現場が変わるか。
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【給特法について】
・給特法そのものが悪いわけではなく、給特法のルールを守ってこなかったことが問題なのでは。超勤四項目以外のことがどんどん増えてしまった。定時で帰るのが基本の業務量であれば、突発的な生徒指導の対応も調整額4%の範囲でできる。
・廃止になった場合は、残業代を支払うことになる
・残業代が支給されるようになれば、財源に限りがあるので、仕事量を減らさざるを得ない。必然的に残業が減る、というのが理想。今はまだ真剣な削減議論に達していないのではないか。
・残業代が発生するとして、結局業務量が減らない限り長時間労働はかわらないのでは。
・調整額4%いらないから休みをくれ、と思う。
・給特法を残すのであれば、パーセンテージの改正が必要。4%のままではおかしい。では20%にできるのかというと難しい。
・仕事量が極端に少ない教員もいる。分掌の偏りなどもある。
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【ワークショップ】
第3回中教審にあたり発表された妹尾氏の資料 ⇒ 「教員の行うべき仕事とは 指導文化への挑戦と役割分担の検討 試案 妹尾委員」をもとに、以下の審議項目について配置を考えるワークショップを行った。
(1)登下校の時間の対応
(2)放課後から夜間などにおける児童生徒の見回り、補導時の対応
(3)調査・統計への回答
(4)学校徴収金の徴収・管理
(5)地域のボランティアとの連絡調整
(6)成績処理に関連する業務・教材準備に関連する業務
(7)課題のある家庭・児童生徒への対応
(8)給食時の対応
(9)児童生徒の休み時間における対応
(10)校内清掃
(11)部活動
特に教員の専門性の定義については参加教員の中でも意見が割れた。教科における専門性と担任としての専門性をどこまで包括するのか。学校における福祉的業務をどこまで教員の専門性の中に位置づけるのか。それによって各々の業務仕分けに差が出るようである。給食時の対応(8)は最たる例で、ある教員は専門性の低い業務であると意見したのに対し、別の教員は担任としての専門性が必要であると述べた。
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【学校制度について】
・学校ごとの特色を、と言い出したころから余計なことが増えてきた。
・HR制の解体、高校は可能かもしれない。中学は難しい?
・教員が教室にいて生徒が移動する、とても合理的。しかし生徒のメンタル面のケアに専門の人員が欲しい。
・福祉の分野に問題を抱える生徒がひとりいて、それだけでとても負担が多かった経験がある。福祉の専門的なケアは不可欠。
・18歳から児童福祉対象外、かといって成人ではないのでネグレクト被害の子が福祉の谷間に落ちる。これを学校がケアするのは限界がある。自分が向き合ってそう思った。福祉の視点は絶対必要。
・子供に関わることのすべてを学校が引き受けている現状。学校が抱え込むのではなく、ハブになれればいいと思う。
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【土曜授業について】
・土曜授業は手渡しで現金支給、給与明細にはのらないお金。
・土曜授業に一回出たら、図書カード1000円。
・「代休」か「部活動付添」のどちらかで、という「奇妙な扱い」がある。
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【地域行事への参加について】
・普通にお祭りに行っても、喫煙などの問題行動を見つけたらそこから仕事になるので行きたくない。
・勤務校では夜のパトロールやお祭りには何も手当なし
・勤務校では地域の行事や宿泊行事への参加は振替2時間が充てられる、つまり職務なのか?
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【現場で実践していること】
・準備室に自費で温度計を購入して、この夏の温度を記録した。
平均で32.3℃、湿度が59%。最高で気温34℃、湿度70%を超えたことがあった。
これをもとにクーラーの設置を交渉していく。
・自分は新しい講師に対して部活はさせないようにしている。土日も行かせない。それはおかしいよと伝えている。そういう考えの若い人が育っていったら、学校が変わっていくのではないかと。
・定時退勤を堂々とすること、自分のできることを信じて貫くしかない。
・行事関係の準備などを勤務時間内にできないことはおかしいのではないか、と職場ですこしずつ発言している。それは部活の時間があるからだが、部活の問題としてではなく、その他の業務を勤務時間内に持ってくるべきというやり方。そうすると教務の先生もそれはおかしいよね、といって、勤務時間外の個人懇談が変更になった。
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【タイムカード導入について】
・弁護士ドットコムニュースを含め基本的に批判的な意見が多いが、自分は肯定的に捉えている。管理職が管理するということは、管理職に管理する責任が生じるということ。そして明らかな具体的な数字を出すことが重要。これを証拠にして、部活動云々ではどうにもならない学校の現場を可視化できる。
・せっかく電子データで管理しているのだから、早く来た分早く帰れたり、残業が累積した分で振休を作ることも可能なのでは。
・大阪府は、はじめは出勤だけだったが、退勤も打刻するようになった。
>勤務校(奈良県)はいまだにタイムカードはない
>勤務校(滋賀県)は昨年11月から出退勤管理が導入された。
>勤務校(地域非公開)は土日は時間外勤務がないことになっており出退勤管理入力できない。
・大阪府は出退勤管理を導入していたけれど、何か変わったか?組合交渉によると、総量としては減ったらしいが、実際に何かが変わったという実感はない。
・そもそも勤務時間の設定がおかしい
>定時退庁日が19時。
>8:25勤務開始のはずが、25分からHR開始。8:10から学年打合せなども。
>内規では8:20の一時間前解錠のため7:20に出勤しなければならない。自分が赴任する前は泣き寝入りだったが、交渉して一時間分早く帰れることになった。しかし管理職に口頭で申請するものであって、代休として記録されるものではない。
・自分が前職の時は勤務時間が8時30分からで、開店するのは9時からだった。何事も対外的な仕事の前には準備に充てる時間がある。
・シルバー人材派遣センターの方が施錠している。お休みの時は教員がやる。用務員はいない。勤務時間外の施錠をさせてはいけないという意識が感じられる。
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【業務効率化の実践】
・パソコン、スマホのメールで毎回課題提出。
画面上で確認、参考になるものにコメントをつけて印刷配布。
電子サプライのない子は手書き、人数としては1割程度。
・生徒指導の記録は、自分用に細かくとったほうが良い。身を守るために。
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【大阪府の大会引率手当】
・公式戦は振休か4500円の手当か選べる(※大阪府全てではない)
・手当を選ぶ人の方が多い。
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【大阪府の部活動指導員について】
・何時間やっても一回3000円で、年間30回の上限がある。
・好きな部活動指導員はハンコを押さず部活指導に来たりもする。
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【講師について】
・常勤講師は担任を持ったり土日部活をみたりもしていた。
・非常勤理科講師をしていた当時、高校は実験助手がつくので授業準備が助かったが、中学だと助手がいないので実験準備を自分ひとりでやらなければならず、その前後の準備にかなり時間がかかった。
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【府立かわち野高校非常勤未払い賃金問題】
・大阪教育合同労働組合
非常勤講師の担当授業の間の空き時間について、出勤簿で管理できるようにすることを認めさせた。管理職との掛け合いの良い例ではないか。
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【修学旅行について】
・超勤4項目に含まれているし振休調整がつくので仕方がないが、旅費の他、修学旅行中の食費は全て自腹、荷物の輸送費も自腹、施設入場料なども自腹。
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【今後世の中にどんなことを、どうやって訴えていきたいか】
・問題意識をもった仲間と顔の見える関係になったところで、いかに現場の同僚に働きかけるかが課題で、やはり怖さがある。職場で若いメンバーの連携があるが、部活熱心な同僚もいるので労働問題に関する本音を話せないでいる。ニュース記事などを印刷して配るところから始めようと思う。
・現場で個人的にできること、20代の若い教員に働きかけていきたい。ひとりだとできることが限られる。仲間が欲しい。
・いまの自分の立場で提案をしても、50代の教員に提案を潰される。そういう人たちは5年後にいなくなる。そうなったときに下の世代と連携して現場を変えていきたい。そこまでの長いスパンで取り組まないと難しいかもしれない。ネットワークだけでなく、現場で、自分の職場で話題にしていけるかどうか。
・若い先生がどんどん働きかけていくことが良い。40代以上の上の人たちも大変だったとは思うが、なぜ今日まで変えることができなかったのか。
・教員自身の意識改革はまだまだ時間がかかるが、20代の人は前例があるとやりやすいはず。
・現場の同僚はこういう話を知らない。まずは、こういう問題意識を持つ人たちがいるということを発信したい。
・テレビの力はすごい、たくさん連絡がきた。しかし本当に忙しい職員室の先生が見れないのが残念。
・必要なのは、部活や仕事が好きで長時間労働を厭わない人との対立構造ではなく、そのような教員とどう問題意識を共有していくか。
・部活が好きな人でも、超勤を減らそうというのに怒る人は少ないと思う。
・部活については好き嫌いで賛否がわかれてしまう。だから部活だけじゃなくて働いていることの総量、という枠組みですこしずつ皆で共有して働きかける。
・部活が、というと反感を買う可能性が高くなる。それを超勤が、に置き換えるだけで、部活が大好きな人にとっても就労についての問題意識を共有しやすくなるのではないか。
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