中央教育審議会初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会(第20回)
中教審 傍聴の記録
※内容に誤りやお気づきの点がありましたらご連絡をお願いいたします。
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目次
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第20回 2018.12.0
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委員 50音順
相原 康伸 氏/全日本労働組合総連合会 事務局長
青木 栄一 氏/東北大学大学院教育学研究科 准教授
天笠 茂 氏/千葉大学教育学部 特任教授
稲継 裕昭 氏/早稲田大学政治経済学術院 教授
小川 正人 氏 ★部会長/放送大学教養学部 教授
風岡 治 氏(欠席)/愛知教育大学教育支援専門職養成課程 准教授(2018年4月より.前職は豊橋市教育委員会教育政策課事務指導主事)
川田 琢之 氏/筑波大学ビジネスサイエンス系 教授
清原 慶子 氏/東京都三鷹市長
佐古 秀一 氏/鳴門教育大学理事・副学長
嶋田 晶子 氏/武蔵野市立第五小学校 校長・全連小理事・東京都小学校 校長会副会長
妹尾 昌俊 氏/学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー
時久 惠子 氏(欠席)/高知県香美市教育委員会 教育長
橋本 幸三 氏(欠席)/京都府教育委員会 教育長
東川 勝哉 氏(欠席)/公益社団法人日本PTA全国協議会 会長
冨士道 正尋 氏/前小金井市立南中学校校長・全日本中学校長会 事務局主事
無藤 隆 氏 ★部会長代理/白梅学園大学大学院 特任教授
善積 康子 氏/三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員
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配布資料
資料1 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申素案)
資料2 公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)
参考資料3 学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について(平成30年2月9日付け文部科学事務次官通知)
本ページのPDFリンクは全て 文部科学省公式サイト で公開されているもので、掲載している資料画像は前述のデータから作成したものです。
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議題
1、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申素案)」について
2、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」について
3、その他
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ここから本議題
※ 以下の記録は各委員の発言要旨を聞き取れた範囲で記載したものです。発言内容すべてを網羅できているものではない点をご了承願います。
※発言者のうち部会委員を黒、部会長の進行を緑、文科省を橙、参考を臙脂で示す
12月6日 午前10時~12時 三保の間
小川 正人 部会長(放送大学教養学部教授)
<開会の挨拶>
<答申素案、ガイドラインについて審議したい旨の説明>
事務局から説明(合田財務課長)
<資料について、主に、これまで議論された内容をどこにどのような文言で反映したかを説明>
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
あくまで素案なので、率直に意見を出し、よりよいものにしたい。
上限ガイドラインは議論を形にしてもらったものである。
議論の進め方は
としたい。
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素案 第1~4章とガイドラインについて
●佐古 秀一 委員(鳴門教育大学理事・副学長)
・素案13ページにあるような、文科省が「バッファー」になる、という言葉に違和感がある。文科省は緩衝ではなく、主体的能動的に動く。そういう(機能を示す)言葉に代えてほしい。
・地域の教委も(働き方改革に)関心を持っているが、役割を資料上で分けても、学校で推進するのは難しい。たとえば登下校の役割を学校と地域で話しても、納得は得られない。文科省から指針を、教委や国民に出してほしい。
・保護者は教員の多忙さを十分に認識していないのではないか。学校の現状を伝え、教委や学校が話し合いのテーブルに着けるような役割を文科省は果たしてほしい
・ガイドラインについては、これしかないだろうが、問題は学校がこれを順守できるかだ。別紙3の縮減の目安は、全部クリアしてガイドラインに収まる考え方だろうが、この縮減を全部やれと言ってできるのか。
・たとえば、少なくとも学校が開く時間、閉める時間を決めることを考えてみてはどうか。ガイドライン順守といっても問題は多いが、(開く時間閉める時間のように)勤務時間を考えれば、取り組みやすいのではないか。
●善積 康子 委員(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員)
・素案23ページに「管理職は、職場におけるハラスメントの防止や相談しやすい職場環境の整備など、各学校において必要な対策を講じてくべきである」とあるが、ハラスメント、コンプライアンス対策を学校単位でやるのは難しい。教委が責任を持って研修、マネジメント研修を行ううえでのマネジメントを目指さないといけない。学校に負担が増える印象になるのはよくない。それを加筆してほしい。
・素案25ページの「人事評価についても、同じような成果であればより短い在校時間でその成果を上げた教師に高い評価を付与する」の表現だが、目標とする教師像がないと、評価が難しい。仕事の仕方や組織運営、連携やサポートの部分かなと思うが、どんなふうに「できている教員」を目指してほしいと若手や志願者に伝えていくことが長い目で見て業務改善に必要なプロセスだ。
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
・参考資料4を用意したので参照してほしい。
・上限ガイドラインについて、例外規定である臨時的な特別な事情について、拡大解釈がなされてはダメだ。本文にこのことを書けなくても、Q&Aのような形で文科省が周知してほしい。
・素案10ページの部活動について、「(中学校では10年間で)土日の活動が1時間3分増加し、土日の活動が0時間だった教員の割合が減少している」趣旨が書かれている。少子化の割には部活が減っていないということだ。従来は土日にやっていなかった教師も部活に従事している。スポーツ庁・文化庁で実態を把握分析してほしい。
・部活については、休養日の設定だけでなく、部活数そのものの適正化も真剣に考える必要がある。
・素案13~14ページにあるように、公立小中中心に話が進んでいいが、高校や私立でも長時間労働は深刻だ。
給特法は私学は関係ないが、その部分以外は答申を踏まえて改革せよというメッセージを打ち出してほしい。特に高校は成績処理、eポートフォリオや入試改革対応で負担が増えているので、放置すると大変なことになる。
・素案20ページ「早朝や夕方以降の時間帯において、児童生徒の適切な登下校時間を設定して保護者に周知する」とあるが、登下校周知だけでは改善しない。文科省もキャンペーンをするなり、朝の見守りスタッフを入れるなりにしないと無理だ。
・素案23~24ページに関して、メンタルヘルスや労働安全環境整備は、法令を最低限守るだけで改善するなら、今ほど事態は悪化していない。ストレスチェックも、エビデンスベースを言うなら個人情報配慮の上で国が分析してほしい。
・養護教諭の負担軽減も配慮してほしい。
・(文科省が)バッファという表現だが、教委にしても、受動的では困る。文科省もがんばってほしいが、教委がしっかりやってほしいし、ガンガン学校にも言ってほしい。
・(持参資料5ページ)
これは静岡県吉田町の動きだが、こうして待たずしてもできることがある。こういうのも大事にしてほしい。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
加筆修正の要望について、本来ならこの場で事務局に聞くのがいいが、時間的に無理なので、私と事務局で答申にどう盛り込むか相談することで扱わせてほしい。
(異論なし)
●稲継 裕昭 委員(早稲田大学政治経済学術院 教授)
・素案32ページの注62「裁判例によれば、放課後の教室での小学校四年生の喧嘩について『自己が担任する児童が責任能力を有しないといつても、小学校四年生ともなれば一応学校生活にも適応し、相当程度の自律・判断能力を有しているとみられるから、教場での教育活動が終了した以上は、全員が退室下校するのを見届けなければ児童の安全を保持しえないと予測し得るような特別な事情がない限り、担任教師には最後まで教場に在室して児童を監督すべき注意義務は存しないと解するのが相当である(高松高裁昭和49年10月31日判決)』として、教師は放課後について全ての責任を負うものではないとされている」や、
注63「学校・教師が担うべきいわゆる安全配慮義務の範囲について、裁判例では、学校における教育活動及びこれと密接に関連する学校生活関係に限られるとされる場合もあるが,具体的な範囲は個別の事案に応じて判断されることとなる。
(以下略)
教員に逃げ場がないのを、こうした判例が救っているので、注ではなく本文に書いてほしい。
・1文は150~200字以内にしないと主語述語はわからない。霞が関は官庁文学でよいかもしれない。しかしこの文章は役所だけでなく、学校や国民向けなので、わかりやすく区切ってほしい。(以下、具体的に問題箇所を指摘)
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
事務局と相談しながら対応したい。
●相原 康伸 委員(日本労働組合総連合会 事務局長)
・精力的な書き込みであることを前向きに評価したい。
・ガイドラインの定める上限に法令上の根拠を含め、給特法の指針を踏まえ、確実に実施してほしい。これは今回の目玉。ゆるいものではなくしっかりとしたものという共通の理解になるようにしてほしい。
・その観点から、素案19ページ「上限ガイドラインの実効性を高めることが重要であり,文部科学省は,その根拠を法令上規定するなどの工夫を図り,学校現場で確実に遵守されるように取り組むべきであるが,勤務時間管理は,働き方改革の「手段」であって「目的」ではない。勤務時間の把握を形式的に行うことが目的化し,真に必要な教育活動をおろそかにしたり,実際より短い時間を記録に残す,又は残させたりすることがあってはならない」はよい記述である。
・人事委員会にも労基署のような職権を与えることが重要と思うが、その追記が可能か否か、検討願いたい。
・素案20ページ
部活動について「こうした取組に加え,特に中学校で長時間に及んでいる部活動については,スポーツ庁が作成した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」及び文化庁が作成予定の文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(以下,2つ合わせて「部活動ガイドライン」という。)を踏まえた適切な活動時間や休養日の設定を行う必要がある」とあるが、こうした取り組みに加え、ガイドライン遵守の学校も少なくないから、遵守している学校には指導員を重点的に配置するなどメリハリのついた対応を追記できないか。
・素案21ページからの「こうした現状の中にあって,公立学校の教育職員に占める精神疾患による病気休職者数は,ここ数年 5,000 人前後(全教育職員数の 0.5%強)で推移し,その復職についても大きな課題となっている。
また,志ある教師の過労死等が社会問題になっている。子供のためと必死になって文字通り昼夜,休日を問わず教育活動に従事していた志ある教師が,適切な勤務時間管理がなされていなかった中で勤務の長時間化を止めることが誰もできず,ついに過労死等に至ってしまう事態は,本人はもとより,その遺族又は家族にとって計り知れない苦痛であるとともに,児童生徒や学校にとっても大きな損失である。さらに,不幸にも過労死等が生じてしまった場合に,勤務実態が把握されていなかったことをもって,公務災害の認定に非常に多くの時間がかかり,遺族又は家族を一層苦しめてしまうような事例も報告されている。このような事態は決してあってはならないものであり,根絶を目指して必要な対策を実施していかなくてはならない」とあるが、過労死の社会問題について、相当分量の記載は、現実を見据えていると理解する一方で、文字に落とし切れない現実があるのも事実。
これだけのことを記載したのだから、二度と起こさないことを大所高所で論じる必要がある。
●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部 特任教授)
・素案9~11ページ(勤務の長時間化の現状と要因)について、なぜ長時間になっているか、要因を挙げて分析する箇所。このあたりの整理の仕方が、その後の章立てにかかわってくる。その後の章立てとここの要因が構造化されているかを、全体を通して点検してほしい。
・学校は慣習で動いているという研究がある。長年の慣習で動いてきて、そのあたりにメスを入れるのが私達の立場で、それは文章に盛り込まれている。
・素案12~13ページ「 教師の長時間勤務については,教師自身において自らの働き方を見直していくことも必要であるが,教師個人の「働き方」のみに帰結するものではなく,教師一人一人の取組や姿勢のみで解決できるものでもない。学校における働き方改革は,我が国において学校教育について責任を負う文部科学省,給与負担者である都道府県・指定都市教育委員会,服務監督権者である市区町村教育委員会や学校の設置者,各学校の校長等の管理職が,それぞれの権限と責任を果たすことが不可欠である」
・勤務時間の調整調査は、教員自身ではなく、制度や環境が変わるのが不可欠だということだが、教職員個人が、学校が、行政が、それぞれ受け止めなければならないと書かないといけない。
●清原 慶子 委員(東京都三鷹市長)
・素案21ページ「志ある教師の過労死等が社会問題になっている」は、働き方を考える重要な要素の一つであり、労働安全衛生管理の要素ではなく、改革の目的に位置付けてほしい。背景として、尊い命が二度と失われてはいけないということ。また教員の過労でたとえばいじめが見過ごされてはいけないわけだし、命を守るために働き方改革、を冒頭に書いてほしい。
・ガイドラインは数値も大事だが、目安であり、3-(3)のような特例「児童生徒等に係る臨時的な特別の事情により勤務せざるを得ない場合」を付記している点については。いじめや事故のように躊躇なく対応すること、しかしその際も配慮をと書かれたことが重要だ。
・ガイドラインの「5 留意事項」もきわめて重要な事項。
・ガイドラインを実効性あるものにすることが重要であり、素案19ページの「上限ガイドラインの実効性を高めることが重要であり,文部科学省は,その根拠を法令上規定するなどの工夫を図り,学校現場で確実に遵守されるように取り組むべきであるが,勤務時間管理は,働き方改革の「手段」であって「目的」ではない」「特に,文部科学省には,この上限ガイドラインの策定は学校における働き方改革に関する文部科学省の職責の始点であり,ここから学校における働き方改革のためのPDCAサイクルを展開し,実態把握に基づく条件整備や制度改正等次の施策へ展開していく責任があることの自覚を求めたい」は文科省の責務が働き方改革が明記された重要な部分だ。であればこそ、バッファーという言葉が目立ってはいけない。文科省の職責部分がより明確になる、国民に理解を求めるとき、文科省、教委、学校が共同することが大事だ。バッファーと言うと、学校と市民にそんな溝があるのかという印象になる。
・素案31ページの注釈62・63を本文にということだったが、法律を作って改革、という部分もあるが、法律を理解して進めていくことも重要で、注62はきわめて重要である。
●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科 准教授)
・素案11ページ「労働法制上,使用者である校長や教育委員会等は,勤務時間を適切に把握・管理する責務を有しているが,「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下「給特法」という。)の存在も相まって,教師の勤務時間を管理するという意識が,各学校の管理職や教師の服務監督を行う市区町村教育委員会等において希薄だった」と明記されていることは重要。マネジャーとしての校長、管理者としての教委がしっかり認識することが重要。
・ガイドラインの3で「(給特法が定める)「超勤4項目」以外の業務が長時間化している実態も踏まえ、こうした業務を行う時間も含めて「勤務時間」を適切に把握するために、今回のガイドラインにおいては、在校時間等、外形的に把握することができる時間を対象とする」と書かれているのが重要だ。
・素案24ページから「教職員一人一人の働き方に関する意識改革」があるが、学校と地域、家庭をつなぐ存在としてPTAなどがあるが、ここに意識改革を促すのと、実績ある主体には表彰すると書いてはどうか。
・素案40ページに「文部科学省は,若手教師が気軽にアクセスできるホームページや
SNSといったメディアを通じて経験の不足から悩みがちな指導方法等に関する積極的な情報発信を行うなど若手教師への支援を充実する必要」とあるが、文科省が集約機能を発揮できるような、ポータルのようなものが必要だ。
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
・素案21-22ページに、過労死などの健康被害が言及されているが、そのあとの流れをどう受け止めるかが重要だ。勤務実態が把握されないことが労災申請で不利益になる。それがわかりやすく十分に示されていない。ガイドラインがその解決につながると言える、そのあたりを明確に示すことを検討してはどうか。
・ガイドラインの、本ガイドラインにおいて対象となる「勤務時間」の考え方で「具体的には、教師が校内に在校している在校時間を対象とすることを基本とする。なお、所定の勤務時間外に校内において自らの判断に基づいて自らの力量を高めるために行う自己研鑽の時間その他業務外の時間については、自己申告に基づき除くものとする」とあるが、この考えは適切なものだ。除外する時間の考え方については、業務と、自己研鑽を明確に区別するのが難しいだろうが、それが外形的の出発点だろう。どちらともいえそうなものは除外対象に含まれない。明確に業務外のものが除外の対象としていく必要がある。
・細則や運用方法への意見コメントだが、区別に関する考え方をどこかに入れていくべきだ。
・ガイドラインの3-(2)
上限の目安について、一部、労基法と異なる扱いとなっている。民間の制度を引き継いでいるせいもあるが、勤務を要する日のことなのか、それ以外も含むのか、そのあたりを制度化を進めるにあたってはわかりやすく説明する必要がある。
●嶋田 晶子委員(武蔵野市立第五小学校 校長・全連小理事・東京都小学校 校長会副会長)
・素案30ページの注61に、削減対象となるような業務(夏休み期間の高温時のプール指導や,試合やコンクールに向けた勝利至上主義の下で早朝等勤務時間外に行う練習の指導,内発的な研究意欲がないにもかかわらず形式的に続けられる研究指定校としての業務,地域や保護者の期待に過度に応えることを重視した運動会等の過剰な準備,本来家庭が担うべき休日の地域行事への参加の取りまとめや引率等,学校としての伝統だからとして続いているが,生徒の学びや健全な発達の観点からは必ずしも適切とは言えない業務)が7つのマイナス要素のように書かれているが、このうちたとえば、夏休みのプールがなかったら夏の子供達の泳力はどうなるのか。
研究指定校にしても、輪番でやらざるをえなかった現状がある。それがマイナスに入ってしまうことはどうなのか。何でもカットではなく、何が必要か、を考えて書くべきだ。
●富士道 正尋 委員(前小金井市立南中学校校長、全日本中学校長会事務局主事)
・はじめに
教職は人を育てるものであり、崇高、やりがいのある仕事というのが大前提だ。その中でまとめているわけだから、素案冒頭に、先生という仕事は素晴らしいという趣旨と内容を書き加えてほしい。
・素案32ページで、教員以外の人材を確保しながら委ねていく趣旨があるが、その人材を見つけて、配置し、管理監督を、学校やりなさいよではまた逆行してしまう。人を付けるのは必要だが、学校で見つけて入れてとならないようにしてほしい。
・これは、あくまでも仮に、という話だが、仮にガイドライン守らなければ罰則規定ということになれば、学校現場が窮屈になってしまう。かえって違う意味での問題が起きる、数字をごまかす、あってもないことになるかのような事態になる。
実効性の担保は必要だが、規制はやりづらさになってしまう。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
意見について、この場でやり取りする時間がないので、5~8章に進みたい。
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素案 第5~8章について
●妹尾 昌俊 委員(学校マネジメントコンサルタント、アドバイザー)
給特法について何点か述べたい。
・時間外手当化がよいかというと、労働時間全体縮減の流れの中で、時間をかけたからいいというわけではない。もちろん時間外の対価は払うべきと思うが、時間外手当がいいとは思わない。
・次に、今の調整額でよいかという論点だが、確かにこのままでは安い。一方、その増額の予算があるなら定数改善をという議論もある。どっちが先か、優先順位を考えてほしい。
・そして超勤4項目以外の自発的業務の位置づけはどうか。
これらも全体的に勤務だということだと思うが、判例では、これは校務ではないとされている。判例とガイドラインでは当然、判例が強いと思うので、当座の手当はガイドラインでいいが、一方で給特法を改正(時間外手当ではなく超勤4項目以外も、命令は出せなくても、勤務として位置づけてほしい)と、明確に書かないといけないところだ。
・年間変形労働については、基本的なところがわからない。週当たり何時間までできるのか。労基法を取り込むのか、ガイドライン上限の目安とのかかわりはどうか。無定量ではないはずだ。悪化と言われないようにもっと丁寧な説明をしてほしい
・年間変形労働の留意点を書いてほしい。個人が選択できるのは賛成だが、メリットだけではなく、デメリットも出さないとフェアではない。また、教頭職はもっと多忙になる可能性がある。
・環境整備については、もう10回以上言っているが、小学校は空きコマなしで、休憩も取れない。過密労働であることを考えると、授業準備を勤務時間内にできることが重要。大幅に仕事を減らす、空きコマを増やす、両輪ではないとうまくいかない。学校にがんばれだけでは無理だ。(増員などは)財源の問題があるにしても現状はひどい。
●富士道 正尋 委員(前小金井市立南中学校校長、全日本中学校長会事務局主事)
・素案45ページの一年単位変形労働時間制について、誤解をされてしまう。労働時間を伸ばすんだ、と。むしろ助かる例も書き込んでほしい。たとえば、雨が降るかもしれない運動会の日に、先生達は朝早めに出てくる。そしてその早出が振り替えられればむしろ助かる、といったような。
●嶋田 晶子委員(武蔵野市立第五小学校 校長・全連小理事・東京都小学校 校長会副会長)
・素案51ページ、今後さらに検討を要する事項の「特に小学校における効果的な指導と教師の一人当たりの指導時間の改善の両立の観点からの,小学校の教科担任制の充実,年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方の見直し」に関して、小学校における教科担任制は一つのやり方だが、専科の導入、外国語にも言及してほしい。
●川田 琢之 委員(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
・ガイドラインの時間の性質だが、労基法の労働時間とは違う観点から捉えて管理することになる。本来なら中長期的に労基法との整合性を明確に整理していくもの。教員に関する判断と、一般的な労働の判断との違いを考え、時間をかけ、検討すべき課題だ。
・勤務時間管理をしていくうえで、正確な記録を作成保存する。何らかな形で明確かつ実効的な形で実施していくべき
・変形労働時間制については、この制度を使うことで、時間の削減目標が現実的に設定できるか。今回、目安や工程表が示されたが、目安は今後より充実したものをつくっていくべき。業務分担、見直し、実効的な目標設定につながるか、検討していくことになる。
●青木 栄一 委員(東北大学大学院教育学研究科 准教授)
・素案56ページでメンタルヘルスに関する言及があるが、40ページで若手教師を支えていく重要性を述べていることから、ここに若手教師のメンタルについて、加筆してほしい。
・素案54ページ「文部科学省は,各地での取組の進展を把握すべく,今回の議論のスタートとなった教員勤務実態調査と比較できる形で,3年後を目途に勤務実態の調査を行うべきである」について、一定間隔で実施する必要がある。学力調査官のように、調査官を置くことへは議論あるだろうが、分析機能を国として持っておく必要がある。そのためには、データを量的に把握できることは重要。
・素案42ページからの、給特法の今後の在り方について、給特法だけで見てしまうと見えないことがある。1960-70年代に教員の超勤と職務改善のために制度設計がされたものであり、これまで運用部分で十分でなかったが、今度はそれも盛り込まれたので評価する。
・これからは勤務時間を把握することは(様々な方法で)ますますできるだろう。
●清原 慶子 委員(東京都三鷹市長)
・学校の組織運営体制について。朝、ぎりぎりに出勤し、早く帰れること。それが奨励され、時間がキーワードになる機運の醸成を進めてほしい。
・素案45ページ「教職員定数の改善を含む今回提言した様々な勤務時間の縮減のための施策を総合的に実施すること」とあるが、定数改善について、養護教諭、SSW、SCなどの定数が増えないと改善にならない。
・素案49ページにSSWやSCの配置が記述されている。実効性ある答申を実現するために、これは獲得しないといけない。
・素案51ページ「今後さらに検討を要する事項」で、教師の養成
とセットで、教師が真の誇れる専門職になるようにといったような記述が欲しい。
・今回の答申素案は工程表があること、フォローアップの記述がある点がユニークだ。時期の目安がなくして実効はない。給特法はもう少し時間がかかる。変形労働導入も2021年度とあるが、そうであるなら、仕組み議論の条件整備をしてほしい。
●天笠 茂 委員(千葉大学教育学部 特任教授)
・学校の組織運営体制について、素案11ページに向き合う内容が、37ページにある。そこに方向性や答えとして書いてほしいことが、管理職の多忙さ、教頭副校長のあり方で、これらが多忙化解消の入り口になる。
・素案37ページで管理職のリーダーシップに言及しているが、この十数年どれほどのものか、精査し言及する必要がある。
・素案37-38ページのミドルの充実や処遇があるわけだが、答申が(組織下部の)教職員へというまなざしはあるが、全体(管理職も含めて)にしないと、目指すところにうまく迫りきれない。管理職も含め、多忙をどう位置付け、書き込んでいくか考えていく必要がある。
●相原 康伸 委員(日本労働組合総連合会 事務局長)
・素案54ページに「文部科学省は,各地での取組の進展を把握すべく,今回の議論のスタートとなった教員勤務実態調査と比較できる形で,3年後を目途に勤務実態の調査」とあるが、スパンを短くすることが重要だ。3年をみないと勤務把握ができない、ではない。なぜなら、労働時間把握は日々のことだからだ。健康安全配慮は3年待たないといけないことではなく、日々のことであるからだ。3年後めどの勤務実態調査を行い、どう行うかを、どこかに記載するべきだ。
・給特法は今のままということだが、働き方改革が進んでいるなか、課題をもう一度潰しなおすことが重要で、それで賄いきれないなら、給特法をもう一度考え直すべきである。
・(答申に)給特法の見直しも上がっていると明確に記すべきだ。
・素案53ページで「総合的にフォローアップ」ということで、受け皿のことは書いてあるが、何が行われるのかは書かれていない。
・素案51ページ「今後さらに検討を要する事項」は、そういう前提なのか。
・素案47ページ「中長期的な検討」の中に、給特法も今後の見直しの対象に挙がっているという記述が必要ではないか。「法制的な枠組みを含め、必要に応じて検討」の部分で。
・ガイドラインは(給特法の見直しに)類すると承知できる。場合によって変形もあるということで。だが給特法がここに位置付けられているかは不明瞭。
●善積 康子 委員(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員)
・素案38ページのミドルリーダーについて、主幹教諭や指導教諭が連結器のような役割というのはわかるが、ここに事務職員が入るのはどうか。
・素案42ページは給特法について踏み込んで書いてある。
・素案46ページでも、これまでの通知に踏み込んである。
・給特法成立当時や第1-3次改善の背景が現在そのまま当てはまるわけはない。給特法は未来永劫不滅のものではない。今後見直すことも、報告書の中で、可能性があるということを書いておく必要がある。
●佐古 秀一 委員(鳴門教育大学理事・副学長)
・定数改善は進んでいないが、明確に将来にわたって考えていくべきだ。
・ガイドラインで業務削減の話が出て、それでも登下校のことひとつとっても話が進まないなら、そのための人材を入れるというようなことも考えるべき。
・組織運営体制だが、働き方の時間が変わるだけでなく、学校は教員が育っていく場になっていく、それがこれからのマネジメントの課題であると触れてほしい。
・学校の支援人材の活用について。徳島の話を聴くと、予算を付けていただくとありがたいが、人がいない。それが地方の教委の声だ。お金で思うようにいかない。人材は具体的な例示なり方向性があればいい。たとえば教職大学院の実習を充てるのはどうか。実習はインターンで行うが、学生のために活用すると、同時に学校の強力なサポーターとなりうる。教委が人材を探す必要はあるが、こういうこともあるという情報収集を文科省がして、共有してほしい。
・時間管理の問題。勤務時間が終わったある学校の、若手教師の話だ。タイムカードはあるが、校長に「どうしますか」と尋ねたら「一応押してくれ」と。複数の学校であった話だ。こういうことがあっては全く無意味だ。若い教員が校長からこういわれたらどうすればいいか。ガイドライン運用の罰則とは別に、日々の勤務時間管理の適正な運用をはかるような手段がないといけない。たとえば相談窓口をもうけるなどしてだ。そうでないと教員は救われない。
●善積 康子 委員(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 研究開発第1部 主席研究員)
・素案40ページで若手教員の育成に触れているが、一方で、10ページでは「授業の教材や指導案等について,教師が固有のものを全て自作してこそ一人前との認識により,共有化が進みにくく,経験の蓄積が広がりにくい」とある。なぜ共有しないのか
なぜ振り返って作らないのか。
それがしにくいサーバーであったり、前任者が置いてなかったり、そういう環境的なリソースを生かせていないのが現状。p10に書かれているようなことを、ここにも、教師像をイメージできるように書けないか。
・素案41-42ページでの「チーム学校」という言葉に違和感がある。外部人材とのつながりがチームという印象だが、実は中の調和が大事だ。お互いに助け合う、意見が言いやすい、そこに課題がある学校は少なくない。管理職の運営方針を理解しようとするという意識、それに基づく行動を始めれば、負担感を軽減できると(コンサルしてて)感じる。ハラスメントが起きやすいのも、閉ざされた人間関係だからではないか。きつい言葉を使う年長者や意見を言いにくい事務職員の例もそうだ。なぜそうなるのか。皆で学校をよくする、育てるという意識に温度差があるからだ。それがなくなればハラスメントもなくなる。「チーム」のとらえ方組織としての一体感、連帯感を表現してほしい。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
・意見を全てうかがった。当初の予定では全体を通じて、と思ったが、時間も近づいているので、今日発言できなかったが事務局に伝えたい方は、文書で提出してほしい。
・今日多数の意見をいただいたが、事務局はこれをよりよい答申内容にすべく、相談していきたい。
・ガイドライン及び変形の問題については、可能な限り正確な内容を、現場や社会に誤解のない書き方を、加筆できる部分はしていきたい。
・ただし、工程表のように、2019年に教委との協議、関係法令とのすり合わせがあるので、全てを答申の中に盛り込むのは難しいと思うので、むしろ、2019年度かけて、文科省で検討してもらう方が適切な内容もあるので、そうした意見はそうさせていただく。
●合田 財務課長
しっかり受け止めていきたい。
★部会長 小川 正人 委員(放送大学教養学部 教授)
今後は初等中等分科会、総会でも検討し、意見をもらう。
素案については、本日から国民の意見募集をしたい。手続きに入ってよいか。(異議なし)。
では、次回の分科会については、審議やパブコメを踏まえて、次回題して最後の審議をしてほしい。
<最後に事務局から、パブコメは本日から12月21日まで、と説明があった>
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本日12月6日に行われた 中央教育審議会初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会(第20回)傍聴の記録を公開いたしました。
— 教働コラムズ (@kyodo_columns) 2018年12月6日
事務局側が提示した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」の案について、各委員が意見を述べました。
https://t.co/vRQt5G8tk0
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