顧問の家族から考える部活動

ふぁしこ

(20代 教員家族)


 

 

 夜9時過ぎ、部活動の生徒保護者から主人の個人携帯に着信あり「おい、ワシや!!」からの怒号怒号怒号。横にいる私にまで聞こえてきてビックリ。 内容は部員同士の交友トラブルについて。休日の朝は試合の連絡等で仕方がないとはいえ、6時台から鳴り響く着信。うちには2歳の子も寝ているので朝からウンザリ。

 

主人はクラス担任と部活動主顧問監督をしています。彼は月火水木金は6:00に家を出ます。 夜少しでも早く娘が寝る前に帰るために、業務を早朝にし、朝練をみて、授業し、部活が終わってから残りの業務をして帰ってきます。生徒の問題行動やトラブルなどがあると、夜中になることもあります。そして帰宅してからはクラス・部活の両生徒保護者からの相談やクレーム、他校監督さんとの試合調整、遠征の交通宿泊手配、部活動OBの激励、保護者会長との連絡等々、電話着信に対応します。うとうとしていても、すでに寝てても電話に出るのです。万が一電話に出ないことで生徒に取り返しのつかないことが起こってはいけない、と。個人番号を教えるのはおかしいと思うのですが、そうしないと滞るのだとか。生徒自殺で全国的に問題となった県だというプレッシャーも関係するのでしょうか。

 

そんな平日を過ごして迎える週末、土日も同じく6:00に家を出ます。部活の練習試合です。試合の対戦校によっては移動に時間がかかるため、5:00台に出発することもあります。時には片道2時間かけて日帰り試合をするときも。長期休暇中は強化合宿や遠征試合で数泊家を空けることも。大会中ともなれば、当たり前に休日祝日は試合です。そして休日の部活動指導に代休はありません。休日の帰りは、練習だけのときは17:00頃だったり、遠方だと22:00頃になることもありまちまちですが、ひとつだけ言えることは自分の子と過ごす時間よりも部員と過ごす時間の方が長いということです。

 

保育園で初めての運動会も、主人は部活の試合でした。第2子妊娠中の私がお腹が張って辛くて、それに加えて風邪ひいて、娘も手足口病にかかってしまっても、主人は早朝から部活へ。監督に替わりはいないのです。教員が忙しいのは覚悟して結婚しましたし、夫婦2人のうちは平気でした。でも子どもを授かって親になった時、あまりにも家庭の在り方が後回しなんじゃないかと。顧問である前にあなたは親なのだと。せめて、子どもが幼い今だけでも、娘を、家庭を優先してほしい。と思うようになりました。

 

このように私が初めての子育てで余裕のない中、主人も激務と部活に付随する保護者の理不尽なクレームでどんどん疲弊していました。重ねて担任2巡目で不眠に陥り、初めて真由子さんのブログにコメントした2014年6月から半年経った頃には、主人は不眠の苦しさから人格が変わったようになってしまいました。そして2015年、教員6年目にして心療内科にかかりました。明らかに休養不足なのに夜眠れない、主人も私も辛い日々でした。それでも次年度の担任と部活動主顧問を頼まれました。

 

私は主人の体調のことと家族の時間を作ってほしいのとで「部活動顧問を断ってほしい、せめて一週間に一回は一日休んでほしい」と再三伝えました。でも主人にもどうすることもできない部活動の慣例や制度の矛盾があります。「部活を今すぐはどうこうできないから、もう言わないでくれ」と言わせてしまいました。確かにその通りです。悪いのは主人ではなく制度なのだから、責めちゃいけない。喧嘩したいわけじゃない。もっと楽しい家族の時間が欲しいだけなのです。

 

家庭での時間が少ない主人ではありますが、仕事に部活にと疲れているはずなのに、子どもが寝るまで一緒に過ごす時間はとても大切にしてくれています。おかげで娘は朝起きたらすでにいない主人の布団をめくって「パパは?」と毎朝聞くほどパパ大好きっ子です。だからこそもっと一緒に過ごしてあげてほしい。今しかできない子育てを夫婦二人で経験したい。

 

二人目の出産を目前に控え、我が家は肥大しすぎた部活動の在り方に大きな不安を抱いています。そして将来自分の子どもたちは、自分のための休養や家庭の時間を大切にできる先生のもとで学べる教育環境になっていてほしいと強く願います。