部活顧問のトラウマ。解決は法しかない。

 乾 東一郎/高校教師いぬいのブログ@inui_to_ichiro

2017


 

 

やはり人間は感情の生き物なのですよ。

 

だれの話とは言わないが,

教師になった最初の頃は,バレー部を持っていた。学生時代にバレーをしていたからだ。

このころ頭に来ていたのが

・勤務時間外の拘束時間が苦しい。

・自分の思うようなチームにならない。

・保護者が指導に口出ししてくる。

・選手起用が超大変。

・大会運営や裏の仕事が多すぎる。

ある程度の時期から,顧問の横のつながりができはじめ,広域の大会の運営までするようになってきた。2時間かけて顧問者会議に行ったこともある。全国大会運営も視野に入れて頑張った。

 

しかし・・・。

だんだん病気がちになり,

「あの人,部活ばっかりして,年休が多いよね。」

本当に学級担任の仕事や教科の仕事が手薄になってきているのがわかった。

しないでもいい部活の人間関係のこじれに頭を悩ます時間が圧倒的に増えた。

特に女子部を持った時の苦悩たるや散々だった。めんどうくさい。

 

思い切ってバレーから手を引いた。年ごとにいろんな部活の副顧問になるように工夫した。

多くの先生から

「なぜバレー部を持たないの?」

とか

「逃げているのか?」と言われた。

 

正直のところあのままバレー部の一線で頑張っていたら本当に病休を取っていたと思う。

このころである。「部顧問を拒否する先生」に恨みを抱くようになったのは。

 

副顧問も様々だった。正の顧問が休みがちの場合,私の時間は正の顧問の予定に合わせないといけない。

一番嫌だったのが,ルールさえわからない競技の引率する虚しさである。

保護者からは,「本当はバレーが好きなのですか」なんて言われる。

「バレー部で不祥事を起こしたのではないか」と噂を立てられることもあった。

事実,怠けて部をかき乱す部員を叱責したことがある。そのとき保護者から執拗なクレームが来たことがある。本当にあの時はつらかった。その件が「不祥事」なのか?

 

さんざん頭を悩ました。

 

 

今,バレー部の正顧問をしろと言われたら,

「無理です」となる。

これは物理的に無理なだけではなく,完全な「トラウマ」である。

何年も何年も前の嫌なこと,無駄な感情の起伏・・・。

あの時の嫌な気持ちを今も覚えている。

 

体力とか,時間とか,手当てとかではない。

 

あの時の保護者の目,生徒の目,

何年も何年も前だけど今も忘れられない。

身勝手極まりない生徒

疲れたら休みたがる生徒

楽して勝ちたがる生徒

準優勝しても,選手起用でいちゃもんをつけてくる親。

 

いくらこちらが清廉潔白,完全奉仕の精神を持っていても次から次にくる要求,要求,要求・・・。

 

だから,いくら周りから

「正顧問」を打診されてもしたくない。

 

だれも責任を取ってくれないから。

 

この心のケアをできる人はいないと思う。

 

 

 

今年は,空手部の副顧問である。何やっているのかさっぱりわからない。

ルールさえわからない競技を一日見ていると本当につらい。

まさに部活とは負のループがある。