今話題となっている、あるバレー部の”虐待”動画。部活動問題に関心がある身として、また自身も小学校から高校までバレー部に所属していた過去がありましたので、ふと思い立って寄稿させていただきました。

 

 

 

あの動画を見たとき、「顔面にボールを当てるのはさすがに酷いな…」というのが正直な感想で、これが虐待であるという認識はありませんでした。しかし同時に、今の時代にはそぐわない、周りからは理解を得られない練習なのだろうなとも思いました。

 

あの練習は、大抵のバレー部なら知っているであろう、”ワンマンレシーブ”と呼ばれる、持久力はもちろん、最後までボールに食らいつく諦めない気持ちといった精神面を鍛える練習です(だと思って当時は練習に励んでおりました)。もちろん私もワンマンレシーブの経験はありますし、中高生のときはこの練習が大嫌いでした(笑)

私自身は、顔面にボールを当てられたことはありませんでしたが、ボールを投げつけられたことはありました。他校のバレー部では顔面にボールを投げられたり、髪の毛を引っ張られたり(だから、髪を掴まれないように短くしていると聞いたこともあります)していたチームもありました。今となっては考えられませんが、私たちの練習でさえ水分補給も数回の休憩のときのみしか取ってはいけないというルールもありました。

 

 

 

この”虐待”動画が話題になったとき、ある方の言葉がとても印象深く残っています。

 

「女子バレー部は一種の宗教のようだからな」

 

あぁ、確かにそうだなと思いました。強豪校では髪の毛を刈り上げ、コーチや監督にしごかれればしごかれるほど自分のことを見てもらっている…と悦び、見向きもされない私はもう見捨てられたんだ…と落胆する。指導力のある監督が学校を異動すると、生徒もその監督のいる学校に入学を決めたり、転校したりしているという話も耳にしておりました。

 

 

 

つい先日、私がバレー部に所属していたことを知っている友人に、この動画を虐待と思うかどうかを問われました。

 

「初めは自分自身も似たような練習をしていたから、虐待とは思わなかった。ただバレー部は、女子の部活の中でも古い考え方がまだまだ残っていて、時代遅れなのかなとは感じる。今の時代にそぐわないやり方だから、虐待と思われても仕方ないと思う。」

 

友人は驚いていました。自分のしてきたことを世間から非難されていると感じ「これは虐待じゃない!」と反論すると思っていたみたいです。

部活動問題が加熱している今だからこそ、気付いた異常さでした。周りからはこう思われているんだ、こう思われていたんだと、知ることができました。

 

私は、部活をしていたときの自分が1番好きでした。チームで目標に向かい、なりふり構わずボールを追いかけていたあの頃が1番輝いていたと思っていました。クラスで憂鬱なことがあっても、授業がしんどくても、部活があるからと頑張れたときもありました。だけどその逆ももちろんあって、部活が嫌でもクラスが楽しかったから頑張ろうと思えたときもありました。部活で経験したことは今でも自分にとって財産です。ただ、それは当時私が周りに恵まれ、周りが見えていなかっただけなのだと今になって痛感しています。

 

 

 

 

部活動問題において、様々な考え方の人がいるように見受けられます。身近に教員をしている者がいるため、過酷な労働環境については重々存じております。

 

自分と同じ考え、似た考えの人といるのは安心できますし、とても楽ですよね。ただそれでは、客観的に物事を捉えられなかったり、視野が狭くなってしまう可能性もある。部活動問題について加熱している今、自分の当たり前が当たり前ではないと気付くことはとても重要なことに思います。

 

私の想いを勝手に綴らせてもらうと、生徒たちに学校の外にも自分の居場所を見つけ、のびのびと広い世界を知り、色んな価値観に触れて欲しい。

そして先生方。プライベートもなく身を削り私たちの為に今までありがとうございます。学校教育を受けてきた自分としては、先生方にはまず感謝したい。これから、自分の時間、家族との時間が増えることを切に願っております。