2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ界のすそ野を広げることが急務とされております。
従来からある学校の部活動はそのすそ野を担う立場担っていかなければならないと思っていたのですが、
どうも教育現場から聞こえてくる声はそれとは違っているように思います。
<スポーツ指導者は無報酬>
自分は(プロではない)アマチュアボクシング指導をやってきました。
これまでボクシングは完全にアマチュアで、自分はお金を払ってジムに通っていました。
スポーツ指導者はこれまで無報酬でやるのが当たり前でした。
アマチュアスポーツは民はやりたがらない。
儲からないから。
だから公の、学校の部活が担ってきた面もあるわけで、
あとは民間の物好き(ボクシングジムなんかそう)が本業で利益を出して、その余力で運営していた。
スポーツ指導者は無報酬、これが部活指導においてもひずみとして残ってしまった面がある。
アマチュアボクシングはこれまで学校の部活が中心でした。
プロが中心であるボクシングジムで、自分はアマチュアボクシングに携わってきたのであります。
アマチュアでどう生きてゆくか、自分は部活を預かって地域スポーツ化できないか、
という要望をかねてから持っておりました。
政府では、部活指導員に資格を取らせて部活指導を受けてもらう、ことを検討していると思います。
前述したように、無報酬どころか払っていたがために(本業もあり)自分はジムに
あまり顔を出すことができませんでした。趣味のレベルであったがためです。
(お祭りと同じで)お金を払ってやってたのでマイナスだったんです。
そのお金は本業の余裕のお金でやってたのである意味アマチュアリズムの正しい姿(皮肉)。
これを職業として、報酬が出るものであり、責任を伴うものであればこれまで残業時間として費やしていた時間を
堂々とジムに費やすことができるようになります。
部活動においても、時間を拘束するのであれば相応の報酬を支払わなければならないはずですが、
教職調整額4%が出ているからと残業代が出ていない。
特に公立校において、先生が自身の専門種目以外の種目の部を持たされる。
サッカーなら多少わかるけど顧問いるから、と柔道部の顧問を持たされた、という話を(県内で)聴きました。
柔道なんて格闘技だ。スポーツ事故って怖いんです。
ボクシングでは試合では(高校生は)ヘッドギアをつけてグローブもいいグローブだ。
試合でもちょっと危ないとすぐスタンディングダウンのカウントが入ってすぐTKOが宣告される
それよかスパーリングのほうが怖くて、スパーリング用グローブはクッションのいい大きいグローブで
ヘッドギアもいいヘッドギアを使用する。ボクシングなんてワンパンチでノックダウンということもある。
無用なケガ・事故を避けるための備えをします。(プロは考え方が違う)
事故以前に、子どもの集団だ。好ましくないトラブルも招く。
それも顧問の先生が取り持たないといけないのだが、ここは競技経験がないと部内の雰囲気を感じ取ることが難しくなる。
これほどスキルを要求されることをボランティアでやれと?
やれるわけがない。責任とれるわけがありません
<部活動指導員の資格について>
このほど、自民党では部活指導者の国家資格検討を行い年内にも政府に提出
「スポーツ専門指導員(仮称)」にするということであると。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017050600319&g=soc
これは自分のような人のための資格になると思います。
勤務先に文句を言わせない、身分を堂々と証明できるものにしてもらいたいのです。
この資格を、たとえば「日体協が出す資格を持っていること前提」であるとか、
「教員免許を持っていること前提」という前提を持たないようにしてもらいたいのです
自分はこの前提があるがために、教員採用試験を受けることすらできないのです。
前提があるがゆえに受けることすら許されない、というのは止めてほしいのです
日体協や日本ボクシング連盟が出す資格がいるのなら、あとからいくらでも取ります。
前提にしないでもらいたい
その資格試験は、「ヒューマンマインド、スポーツマインド、ソーシャルマインド、コーチングマインド」を書かせる小論文試験にすれば
いくらでも図れると思います。自分はこれらの内容も独学で学んできました。
暇だし昔やってたからやるか!レベルの人ではこの内容は書けません。
体罰・モラハラ・パワハラをするような人に指導者をやらせるわけにはいかない、
ということだと思います。
この資格を現職の先生に無理やり取らせるようなことはしないでもらいたい
競技の知識をなにも知らない、ボクシングのことを知らない人にボクシング部を持たせれば危険なだけです。
この資格は学校と関係ないところで資格を取らせるようにすべきでしょう。
学校の聖域化は、打破すべきです。
人がいて、組織がつくべきである。組織ありきで人を無理やりあてがうようなことはあってはならない。
昔は顧問が異動していなくなった部は廃部、でも選手はいる。
そういう部は選手が先生に顧問になってくれと頼みにいったものでした。
<仕組みの改善の提案>
自分は現職教員ではないので、いま部活指導をしている先生に知り合いは多く居れども
実際に同じ立場にいるわけではありません。
多くの人が批判する部活動ではありますが、ただ否定するだけではなく、
自分は建設的な提案までしてみたいと思います。
もし、部を学校外に出すにしても、設備や広いグラウンドが外にあるわけではない。
どうしても学校内の設備を使うしかないとすると、これまで通り部の運営を学校内でやらざるを得ない。
しかし、その場合は場所だけ借りるようにして運営は学校とは別組織に。会計も別計算で
・月謝を取って、そのお金(と助成金)で運営する
・半官半民で行うのがよいと思います。部は学校に帰属するのではなく、地域の教育委員会に帰属して学校の垣根を取り払う
・部員の多い人気競技は学校名でもよいが、運営は学校とは別組織、会計も別計算
・指導者は学校に依存せず、その報酬、経費も学校に依存しないでチームで運営する
・指導者は資格を取らせること。無理という先生に無理やり資格を取らせないこと
・資格は前提を設けないこと。教員免許前提では自分は受験することすらできません。日体協の資格などであっても、取れるものにしてもらいたい
・部活の意義はすばらしいもので、ほとんどの大人はかつて部活に燃えていたはずなのです。
卒業したら終わりのものにせず、設備の関係で学校内で行うにしても地域スポーツ化すれば、卒業後もやれます。
・人気競技(野球やサッカー)とマイナースポーツ(ボクシングなど)や文化部との差が出る。
文化部であっても人気のある吹奏楽部などとも差がつく。
これをどうするか、です。
指導者への報酬は生活できるものにしてもらいたいところです。
兼任はしないほうがいいと思うが、仮に学校の先生が兼任で指導者をやるにしても
ちゃんと報酬を受け取れるようにしてもらいたい。
これまで無報酬で行われていた部分にも責任を問うていたのだからひずみが出た。
正しい報酬を与えて、正しい責任を持たせて運営できるようにしてもらいたい。
<強制入部について>
これについて、自分は学校外に部があり、ちゃんと月謝を徴収するものであれば
すべて解決するものだと思うのです。
これまで学校内にあり、学校生活の一部であり、特にお金も出していない、
「スポーツによる金銭的な報酬を受けるべきではない営利を目的とせず、 趣味として純粋に愛好しよう」
というアマチュアリズムの考え方でずっとやってきたわけです。
しかし、オリンピック憲章からアマチュアリズムという文言は1974年に削除されて、
オリンピックにプロ選手が出場できるようになりオリンピックがアマチュアスポーツの祭典から
最高のアスリートの祭典になった。
そんな世界的流れの中で、スポーツのすそ野を担うはずの部活だけは美しい(皮肉)アマチュアリズムで来たわけです。
もう世界的流れに乗りましょう。
前述したように、無報酬で行われていたのに責任を問うていたのだからひずみが出たのです。
指導者はちゃんと正しい報酬を受け取れるようにして、正しい責任を負えるようにしましょう。
その競技が合わない生徒は学校外であれば他のスポーツにも移ることもできる。その競技から離れることもできるのです。
学校内の閉鎖された狭い社会にあり、お金も関係なかったから「部活をサボる」という言葉も出てくるのです。
部活に行きたくなければ行かなきゃいいだけの話なのに、「部活をサボるな!」という錦の御旗で
行きたくない子が糾弾されたのです。自分は小学校のころにあった部活では、水泳は好きだったのでやったのですが
夏季だけのものでしたし、バスケットボールの部にはいったものの自分には面白くなかったので
いかないでいたら「部活をサボるな」と糾弾されていじめにあいました。
そもそもやりたくないのならやらなくていいものを、サボるって何だ?
給料出てるのなら仕事だからやるが、ビタ1文出ずやっても何の得もないのにサボるとは何だ?
当時のクラスメートに問い詰めたい。
以上、長々と述べてまいりましたが、
改善ポイントは部活動だけではなく、それ以外の電話の応対、成績の管理、生徒児童の情報管理、日報、報告書などにおいても
いくらでもあると思います。
何かのヒントになれば幸いです。
コラム「部活は仕組みの改善が必要」
— 教働コラムズ (@kyodo_columns) 2017年5月13日
これまで無報酬で行われていた部分にも責任を問うていたのだからひずみが出た。
正しい報酬を与えて、正しい責任を持たせて運営できるようにしてもらいたい。
https://t.co/a7DNAy9Q3l
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