「部活指導の負担を減らしたいのです…。」
このように同僚や校長に相談して,
「わかりました。あなたの負担を減らしましょう。」
となるのであれば,法律の知識は必要ない。
しかし,現状としては,法律を踏まえて話をしなければ校長や同僚に言いくるめられてしまう場合が少なくない。
部活指導による負担を減らしたいのであれば,知っておくべき法律は『給特法』だけでよい。
(顧問を拒否するのであれば,他の知識も必要な場合がある。)
給特法とは『公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法』の略称である。
正式名称からわかるように,公立学校の教員だけに関係する法律である。
給特法を簡単に説明するなら,
「公立学校の教員には残業代を支払わないよ。だから残業しなくていいよ。
もちろん,校長は教員に残業の命令をすることはできないよ。
でも,教師なら自主的にやりたい残業もあるよね。だから給料を4%増しにしてるよ。」
という法律である。
つまり,定時後に部活指導などの諸々の『仕事』は,法律により『やらなくてよい』とされているのだ。
そして,『教職調整額』と呼ばれる4%増しの給与をもらっているからといって,校長から残業を命令されることもない。
以前,私は校長からこのように言われたことがある。
「神原君。教職調整額の4%をもらっているのだから,放課後の部活指導もしなければいけないのだよ。」
この校長の見解は大間違いである。
「教職調整額をもらっているからといって,校長先生は勤務時間外の仕事を命令することはできません。給特法で定められています。給特法にのっとり,土日や放課後の部活指導はお断りします。」
と返答した。
話を元に戻そう。
給特法により,校長は教員に勤務時間外の業務を命令することができないが,これには例外が存在する。
次の4つの場合に限り,校長は教員に勤務時間外の業務を命令することができる。
▼超勤4項目▼
・職員会議
・学校行事
・緊急事態
・実習(※高校のみ)
もちろん,部活は上記の4つの場合に含まれない。
このため,給特法さえ理解していれば勤務時間後の部活指導を断ることができる。
「部活の負担を減らしたいのですが…。」
このように校長に相談しても,まともに取り合ってもらえない場合には,給特法や超勤4項目を引き合いに出して話をしてみてはどうだろうか。
【給特法まとめ】
・教員に残業代は出ない。
・教員は残業をしなくてよいし,命令もされない。超勤4項目だけ例外。
・教職調整額をもらっていることと,残業の命令の可否は無関係。
(余談だが,上記の4項目で校長が教員に勤務時間外の業務を命令した場合は,その時間分の割り振りを行わなければならない。
例えば,校長が勤務時間外に2時間の業務を命じたのであれば,校長は別の日に教員の勤務時間を2時間短縮する義務が生じる。)
コラム「給特法について」
— 教働コラムズ (@kyodo_columns) 2017年5月26日
教職調整額をもらっているからといって,校長先生は勤務時間外の仕事を命令することはできません。給特法で定められています。給特法にのっとり,土日や放課後の部活指導はお断りします。 https://t.co/0A1iZeCcBq
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