「部活の顧問の就任をお断りします。全員顧問制にも反対です。」
これは,私が毎年3月に校長先生に言い続けている言葉だ。
実は,この数年間で『部活の顧問拒否』に対する校長先生の対応に,明らかな『変化』が見てとれる。
校長先生の対応が劇的に軟化しているのだ。
結論から先に言えば,校長の対応が変化したのは,部活をめぐる教師の労働に対する世論が変化したからである。
「教師なら部活の顧問を務めて当然。教師なら部活によるサービス残業も当然。」
という世論が,ここ数年間で
「部活ってブラックだよね。いくら教師でもサービス残業の強制はおかしいよね。」
というふうに顕著な変化を見せた。
ここで,この数年の私の『部活の顧問拒否』の交渉の結果を見ていただきたい。
25年度…失敗→文化部主顧問を引き受ける。(A校長)
26年度…失敗→強制的に顧問に名前を入れられる。(B校長)
27年度…粘り強い交渉の末,成功。(B校長)
28年度…1分の交渉で成功。(C校長)
29年度…1分の交渉で成功。(D校長)
初めて部活の顧問就任を断ることに成功した27年度の交渉は,本当に苦労した。
法律,裁判例など,様々な根拠を用意し,校長先生に丁寧に説明し,やっとのことで顧問を拒否することができた。
しかしながら,28年度,29年度の交渉は非常に簡単なものであった。校長先生の対応に,明らかな『変化(=軟化)』があったためだ。
27年度は,部活問題対策プロジェクトの署名などが引き金となり,『部活による教師の過重負担』の問題点が数多くのメディアに取り上げられた。
これにより部活の顧問の強制は,広く世間から問題視されるようになった。
文科省も,部活による教師の負担を軽減すべく動いた。
『部活の顧問拒否=学校教育への反逆』
という認識が,今もなお学校現場に残るのは事実だ。
しかし,
『校長の部活の顧問の強制=パワハラであり世論への反逆』
という構図も,確実に世間と学校現場に浸透している。
このため,教師に部活の顧問を強制することは,もはや校長にとってかなり高いハードルとなっている。
『部活の顧問拒否』は難しくても,希望する部活の顧問に就任する,負担の少ない部活の顧問に就任する…などの交渉は,容易に成功するはずだ。
今こそ,部活に苦しむ教師は行動を起こすチャンスだ。
部活の制度の問題点や,顧問の強制の違法性は明らかになった。
部活の顧問を断る権利を求める署名には,多くの賛同が集まった。
世論も味方についた。
鍵は現場の先生方の手中にある。
扉を開けて一歩踏み出す時は,まさに今ではないだろうか。
コラム「今こそ現場から声をあげるとき」
— 教働コラムズ (@kyodo_columns) 2017年5月5日
部活の制度の問題点や,顧問の強制の違法性は明らかになった。
部活の顧問を断る権利を求める署名には,多くの賛同が集まった。
世論も味方についた。
鍵は現場の先生方の手中にある。
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