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1単位時間を考え直してみませんか?

tekinneasy 北海道 50代 政令市教職員組合書記長

 

 

私が学校に勤務し始めた頃、私の勤務している自治体の中学校では、普通、2タイプの日課表が存在しました。1つは1単位時間が45分の日課、もう1つは1単位時間が50分の日課です。それがある時期から、1単位時間45分の日課は認められないとのことで、少しずつ使用することができなくなり、1単位時間50分の日課が少しずつ増え、それが当たり前になり、1単位時間45分の日課は無くなってしまいました。

今となってはそれが本当だったどうかはわかりませんが、当時の校長は次のような説明をしていました。

 「市教委(行政側)の言い分では、標準授業時数は50分を単位時間とすることを基準としているので、45分を単位時間として30コマ(当時の週時数は30コマでした)の授業をすると45分×30コマで1350分にしかならず、50分を単位時間とした1500分に150分足りない。1単位時間を45分とするならば、1週のコマ数を33~34コマにしなければならない」

 

 私は、「なんと馬鹿げた理屈なのだろう」と感じていました。私は、「これは授業をしたことが無い者の発想だ」と感じていました。

 私たちは授業をする時に、それが45分であろうが50分であろうが、「1コマ」の中の展開を考え「1コマ」の中での完結を基本に授業を展開します。授業の進度としては、1単位時間45分の授業を30コマ行う1350分も、1単位50分の授業を30コマ行う1500分も、同じ30コマであり、1単位時間50分の27コマの1350分は、1単位時間45分の30コマよりも効率が悪いのです。

 

 さてここで、教職員の勤務時間と、単位授業時間の兼ね合いについて考えてみましょう。

私が勤務している自治体の一般的な教職員の勤務時間は8時45分から16時45分までで、15時45分から16時30分までの45分間を休憩時間としています。この設定で、1単位時間50分で6コマを配置している一般的な例は、次の通りです。

 生徒登校 8:15~ 8:35

 朝の読書 8:35~ 8:45

 朝の学活 8:45~ 8:55

 1校時  9:00~ 9:50

 2校時 10:00~10:50

 3校時 11:00~11:50

 4校時 12:00~12:50

 給食  13:00~13:20

 昼休み 13:20~13:40

 5校時 13:45~14:35

 6校時 14:45~15:35        

 学活  15:45~15:55

 清掃  15:55~16:10

 

 職員の休憩時間が15時45分からですから、「生徒日課との重なり」があり、この解決が大きな課題です。

 

 次に1単位時間を45分に設定して、仮に考えられる日課を次の通り設定してみます。

 生徒登校 8:15~ 8:35

 朝の読書 8:35~ 8:45

 朝の学活 8:45~ 8:55

 1校時  9:00~ 9:45

 2校時  9:55~10:40

 3校時 10:50~11:35

 4校時 11:45~12:30

 給食  12:40~13:00

 昼休み 13:00~13:20

 5校時 13:25~14:10

 6校時 14:20~15:05

 学活  15:10~15:20

 清掃  15:20~15:35

 

 清掃をやめてしまえばさらに生徒の在校時間を短縮できますが、そこは今回の主題とは切り離して、触れないことにします。

 

 「清掃をやめてしまえば」の他にも「それぞれの授業の間を5分に」「昼休みはいらない」「朝の読書ってなんだ?」などと様々な議論はあるかと思います。それらを全部一緒にして議論をすると、中心のポイントが見えづらくなってしまいますので、今回は授業時数カウントと1コマの授業展開を中心にして考えていただきたいと思います。

 おそらく、日本全国の教室で毎日毎日の授業を通して生徒達と本気で向き合っている方々なら、1単位時間としての授業の展開の中の5分を、全体の流れから切り離して10コマ分を5回積み重ねても、1コマにはならないことをご理解いただけると確信しています。

 標準授業時数と、1単位時間のとらえ方を考え直すことはこれまであまり話題になっていないと、私は感じています。皆さんもぜひ、お考えください。

 

※中学校での実態を記述しました。小学校の1単位時間との差異については、それぞれが考慮してお読みください。