· 

大阪府の運動部活動の在り方に関する方針について

匿名 近畿 大阪府 高校教員 組合員

 

 

いよいよ大阪府もスポーツ庁のガイドラインに則った「方針」を示してきた。

年間休日104日の設定など、一見実のある内容になっているように見えるが、よくよく見ると問題がいっぱいである。

 

まず、1点目。

年間休日104日にテスト期間中の活動禁止期間が含まれるのである。定期テストが5回で、各テストに10日程度の禁止期間があるわけだから、実質50日程度、週1回の部活動の休日を設ければいいことになる。つまり、週1回のノークラブデイと、顧問の気分でちょっと週末の休みを作れば年間休日104日の下限を超えるわけである。しかしこれでは教員の負担は軽減できないし、部活やりすぎ教員に支配された部活動の生徒はほとんどまとまった休みが取れない。

 

2点目。

部顧問は校長に活動計画と実績を報告することとなっているが、学習指導要領に具体的な記載のないものを校長に報告することが何故必要であるのか、また校長へ報告する用紙の提出が新たな負担となる恐れが指摘される。

 

3点目。

校長は報告をもとに部顧問に指導・是正を行うとある。これは場合によっては、あまり休日の引率に参加できない教員へのパワハラの温床となりうるのではないだろうか。

 

4点目。

「部顧問は、スポーツ医・科学の見地からは、トレーニング効果を得るために休養を適切に 取ることが必要であること、また、過度の練習がスポーツ障害・外傷のリスクを高め、必ずしも体力・運動能力の向上につながらないこと等を正しく理解するとともに、生徒の体力の 向上や、生涯を通じてスポーツに親しむ基礎を培うことができるよう、生徒とコミュニケー ションを十分に図り、生徒がバーンアウトすることなく、技能や記録の向上等それぞれの目 標を達成できるよう、競技種目の特性等を踏まえた科学的トレーニングの積極的な導入等により、休養を適切に取りつつ、短時間で効果が得られる指導を行う。

また、専門的知見を有する保健体育担当の教員や養護教諭等と連携・協力し、発達の個人差や女子の成長期における体と心の状態等に関する正しい知識を得た上で指導を行う」とある。

非常に長い文章で、最近話題になっていることを全て詰め込んだような内容だが、主語と述語だけ取り出せば、「部顧問は・・・指導する」である。顧問に指導者としての資質と能力を求めてきていることになる。ここまで求められればもはやプロの指導者レベルである。それをミスマッチが50%も発生している現場に押しつけようとしているわけである。教育委員会には内容の再考を求めたい。

 

ーーーーーーーーーー

 

中学校で52.1%、高校で45.0%の教員が、担当する部活動について競技の「経験なし」と回答している。(2014年1月から2月にかけて実施された日本体育協会の運動部活動に関する調査。全国から中学校600校および高等学校400校が無作為抽出され、中学校の運動部顧問4,047名(回収率65.9%)、高校の運動部顧問4,542名(回収率73.1%)が回答した。)

 

参考記事:YAHOO!JAPANニュース「素人の部活顧問 先生の嘆き 強制的に顧問担当、種目は選べず」2016/4/3(日) 7:16