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現職審が中間まとめに失望している理由が分かったかも知れない

匿名希望 中学校教員

 

 

 

働き方改革の中間まとめと緊急対策が文部科学省から発表された。発表にこぎつけるまでの間、何度にも渡って働き方改革の審議が特別部会で繰り返され、具体的な改革の方向性について詰められてきた。具体的には、業務の仕分け、勤務時間管理(今までやっていなかった)、業務の整理や統合、個人への仕事の割り振りからグループ対応へ、スクールサポートスタッフや部活動指導員、小学校英語専科配置に向けた予算措置などである。これらに対し、現職審議会からは決して合格点はつけられないという評価が出されたと認識している。

 私は、中間まとめや緊急対策には現場にも一定の効果が出ると思えたので、なぜ現職審議会がこれらに失望しているのかよくわからなかった。しかし考えているうちに、気づいたことがあった。これが的を得ているかどうかはわからないが、ひとつの仮説として記しておきたい。

 中間まとめと緊急対策でだされた、業務仕分けも、予算措置も、主に小中学校をターゲットと考えるとすっきりする。そして登下校時の対応をはじめ、地域に移すとしたときの地域、部活動指導員、そういった人材が実際にいるか(見つかるか)どうかも、小中学校に勤めていると地域の方々は距離的な近さがあり、人材が発掘できそうとか、コンタクトがとれそうとか、多少なりとも試行錯誤してみようという気に、私はなることができる。小中学校には市町村教育委員会もいて、生涯学習課や大会を主催する体育協会も、その事業に連なる地域の方々も比較的近い存在だ。

 しかし、もし自分が高校の教員だったと仮定するならば、決して楽観的にはなれないだろう。これらの対策は、高校という機関にとっては、ずれているか、荷が重いものばかりではないだろうか。受け皿として期待されている地域の人材は、(市長村立の小中学校に比べ)都道府県立の高校では、地域との接点や交流の蓄積が普段から少ないだろうというのも想像できる。高校の生徒の通学範囲は、地域と連携するという意味では広すぎる。高校教員は県職なので、おそらくなかなか地域レベルまで下りてこれず、外部に人脈を構築するというのは、難しい面があるのではないだろうか。

 次に多少極論になるが、今回仕分けされた、給食、休み時間、登下校、清掃など、年齢が低いほど安全確保上目が離せないことも、高校にもなればそもそも常に張り付かなくても大きな問題にはならないだろう。それとは逆に部活動は、小中で身につけた技能をさらに伸ばそうとするのだから、求められる技術指導のレベルも高度になるだろう。つまり高校の段階における働き方改革とは、その大部分が部活動問題に収斂されていくのではないだろうか。

 最後に、国が措置している予算は義務教育段階に対する予算と考えられ、部活動指導員も中学校なら一人二人と配置が見込めても、高校へは予算が計上されておらず、ということは都道府県で予算をたててくれるかになるが、これでは地域差が出てくるのが目に見える。総合型地域スポーツクラブもおそらく市レベルで構築を目指すということであれば、なおのこと県立である高校がどのように連携をとればいいかは難しくなることは想像に難くない。

 チーム協力も、(想像ではあるが)小中とは違い高校は、それぞれの教科部がたこつぼ化しており協力する文化があるのだろうか。

 働き方改革は前途多難だが、今年(2017年)以上に来年も前進していけることを、そして現職審議会の言うような部活動改革が進み、給特法が見直され、高校や他の業種の働き方改革が進むことを望んでいる。